「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。
今回紹介するのは『明浄学院高等学校吹奏楽部 Queenstar』。2024(令和6年)度から共学化されたことは記憶に新しい。女子校のイメージは未だに根強いが、新たな歴史を歩み始めた部の様子や活動状況について、顧問の先生からお話を伺った。
団体正式名称:明浄学院高等学校吹奏楽部 Queenstar(メイジョウガクインコウトウガッコウスイソウガクブ クィーンスター)
団体所在地:大阪府大阪市阿倍野区
創設年:1965(昭和40)年
団体の編成:ブラス(※1)、パーカッション、カラーガード
※編成詳細は以下の通り
木管:Fl、Picc、Cl(B♭、Es)、Sax(Alto、Tenor、Bariton)曲によってはファゴット、バスクラリネットを使用
金管:Tp、Hr、Bari、Tb、Euph、Tuba
活動理念:You’ll never walk alone. 決して一人じゃない
明浄学院高等学校は、創立105年目の歴史ある私立高校である。2023(令和5年)度までは女子校として設立されていたが、同一の学校法人が運営する藍野高等学校と統合されることとなり、2024(令和6)年度から共学化された。
吹奏楽部は1965(昭和40)年に当時の顧問が中心となり発足。当時は座奏のみだったが、1990年代初頭にはマーチング活動で大会にも出場していたという。現在は、座奏とマーチングの両方に取り組み、それぞれの大会に出場しているが、いずれも全国大会出場多数の実力校として知られている。
明浄学院は、学校としても部活動としても歴史ある団体だ。そのため、世代を超えて吹奏楽部で活動している部員が多い。顧問の先生によると、「親族や姉妹で在籍しているご家庭もおります」とのこと。これまでに紹介してきた中では関東学院マーチングバンドと近い。
また、現在は2つの高校が統合されたことから全校生徒が900名となっているが、もともと吹奏楽部の部員が多い団体だった。
顧問:部員は多いときで200名以上が在籍していました。そのため、コンクールだけではなく部員全員が活躍できる場を求めてマーチング活動を始めたのだと思います。
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週6日 ※定期考査等の休み+週1回不定期で休みあり
Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内
顧問:基本的に屋内ですが、マーチングの練習はグラウンド、屋上、市内の体育館で行います。
Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い
顧問:大阪市内、大阪府内の生徒が多いですが、奈良県、兵庫県、和歌山県、京都府から通う生徒もおります。
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.94名(2024年度)
顧問:共学化初年度ですが、女子82名・男子12名の部員が活動しています。
Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)
強豪校のためクラブ推薦で進学してくる生徒も多いことから、楽器の経験者が9割と圧倒的に多いが、未経験での入部者も一定数在籍している。また、マーチングでは3割程度が経験者で、その多くがパレコン(吹奏楽連盟主催大会)経験者とのことだった。
Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.約26~30万円(部費+遠征費+諸経費等)
顧問:部費について、1年生が17万円、2年生が14万円、3年生が12万円程度です。こちらはいずれも年額で、活動状況に応じて変動があるためおおよその金額となります。1年生は入部時にジャンパー、バッグなどを購入するためやや額が多くなっています。
楽器について、ブラスとパーカッションは無償貸与で、マレットも含まれる。但し、リードなどの消耗品については基本的に個人購入となる。また、個人所有楽器の仕様も可能である。衣装について、ブラスとパーカッションが無償貸与、カラーガードも個人負担なしとのこと。マーチングシューズについて一足目のみ部から提供があり、二足目から個人購入となる。カラーガードの手具については、ポールは無償貸与でライフルは個人購入(セイバーは使用しない)とのこと。
Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.明浄学院の吹奏楽部で頑張りたい!という気持ち、学業との両立
顧問:成績不良の場合は、期間限定で部活動に参加できない場合があります。また、推薦生の3年生は進学準備等のための休部期間がありません。2月に引退となるため、進路スケジュールの計画を含め、学業との両立は必須となります。
Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・全日本吹奏楽連盟(吹連)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・企業イベント
・演奏会などの自主公演
顧問:地元地域で開催される『どっぷり昭和町』や、『あべの音楽フェスティバル』には毎年出演させていただいています。以前はスポーツイベント(プロチーム主催ゲームのゲスト演奏など)にも出演したことがあります。
Q.将来的に挑戦したい(または現在企画している)ものがあれば教えてください
A.
・演奏会などの自主公演(公演回数の増加)
・動画や写真などのコンテンツ制作
・本番や大会など対外的なものではなく、資金調達や活動環境の向上など団体内に還元できるもの
Q.いま一番困っていることは何ですか
A.練習場所
男女別学の学校で共学化された学校団体として、福岡大学附属大濠高等学校や東京実業高等学校、神戸弘陵学園高等学校(いずれも男子校→共学)、京都橘高等学校(女子校→共学)などを取材してきたが、別学時代の良さも、共学になった今の良さもそれぞれが存在している。これまで女子校として数々の実績と伝統を築き上げてきた明浄学院も、共学化に伴い男子生徒が加入して、新しい姿を見せてくれるだろう。これからの活躍に注目していきたい。
「明浄学院高等学校吹奏楽部 Queenstar」
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