【マーチングバンド解体新書】ボリューム満点のパフォーマンス! 吹連・M協の二刀流「東京農業大学第二高等学校吹奏楽部 EMERALD KNIGHTS」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回取り上げるのは『東京農業大学第二高等学校吹奏楽部 EMERALD KNIGHTS』だ。以前こちらで紹介した福岡大学附属大濠高等学校吹奏楽部さんと同様、全日本吹奏楽連盟と日本マーチングバンド協会の「二刀流」で活躍するクラブである。部の歩みや活動内容など、顧問を務める樋口一朗(ひぐち・いちろう)先生からお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

東京農業大学第二高等学校吹奏楽部 EMERALD KNIGHTSについて

団体正式名称:東京農業大学第二高等学校吹奏楽部 EMERALD KNIGHTS(トウキョウノウギョウダイガクダイニコウトウガッコウ エメラルドナイツ)
団体所在地:群馬県高崎市
創設年:1962(昭和37)年
団体の編成:ブラス(金管※1・木管)、バッテリー、フロントピット、カラーガード(※2)
※1 ホルンはフレンチホルン、ベースはコンバーチモデルチューバではなくスーザフォンを使用
※2 カラーガードはマーチング活動時のみで常設パートではない
活動理念:『人の心に響く音楽を』

農大二高吹奏楽部の歴史は古く、1962(昭和37)年の学校創立と共に活動を開始し、2021年に創部60年を迎えた。全日本吹奏楽連盟(吹連)での活動はもちろん、2014年からは日本マーチング協会(M協)全国大会にも登場するように。両連盟の全国大会常連校として多くのファンから注目を集めている。

他の団体にはない「農二ならでは」なエピソード

以前紹介した大濠高校同様、農二も吹連とM協の二刀流で活躍している。2021年11月13・14日に開催された「第56回マーチングバンド関東大会」で金賞と全国大会出場推薦枠を勝ち取ると、翌週11月21日開催の「第34回全日本マーチングコンテスト」でも2大会連続となる金賞を受賞。M協関東金+吹連パレコン全国金は実に素晴らしい結果だ。

そんな部の年間スケジュールについて、樋口先生から伺ったのでご紹介したい。

農二吹奏楽部の年間スケジュール(例)

5月:OBバンドとのジョイントコンサート
6月:作新学院とのジョイントコンサート(例年5月末~6月上旬に開催)
7月:高崎市吹奏楽祭、吹連・群馬県大会(吹奏楽コンクール)
8月:吹連・群馬県マーチングコンテスト ※Aの部、Bの部両方参加
9月:吹連・西関東大会(吹奏楽コンクール)
10月:M協・群馬県大会
11月:M協・関東大会、吹連・全日本マーチングコンテスト全国大会
12月:M協・全国大会、定期演奏会(2日間開催、1日2ステージの3部構成)

※年度により異なるが、例年の流れを参考に作成

この他にもアンサンブルコンテストやカラーガード全国大会、ステージドリル全国大会などにも出場しており、今年は高崎マーチングフェスティバルや佐久平マーチングフェスティバルなどのイベントにも参加。実にボリューム満点の活動内容だ。

樋口:「マーチングだけでも、パレードコンテストAの部・Bの部、M協、ステージドリルと相当な数のコンテや曲をこなしていますね」

ちなみにカラーガードは常設パートではなく、マーチング活動時限定だ。カラーガードに憧れて入部してくる生徒もいるそうだが、「吹奏楽部」として必ず何かしらの楽器パートに所属する。吹奏楽経験者であれば中学時代に経験していた楽器を引き続き担当することもあるが、中には完全初心者もいるという。

農二の定期演奏会では吹奏楽ステージとマーチングステージがあるが、カラーガードは座奏に参加したのちフラッグを手に舞う。中には吹奏楽コンクールの55人の選抜メンバーに選ばれているメンバーもいるそうだ。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.新型コロナウイルス感染症対策を徹底した上で、平日はほぼ毎日(学校の決まりに沿って不定休で分散休養を取っている)。全体練習は週末に実施

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.100名以上 ※2021年は163名(インタビュー実施時)

Q.新規加入者は例年何名くらいいますか?
A.50名以上

Q.退団者(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.50名以上(学校卒業による退部者の人数であり、脱退とは異なる)

3.実際に加入するためには

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.16~20万円程度(年度により異なるが、合宿費や遠征費を含めての年間総額)

樋口:「部費が月5千円で、遠征等があれば費用の負担をお願いすることもあります。楽器や衣装は貸与ですが、任意で個人楽器を購入する生徒もいます」

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.特になし

樋口:「未経験者も歓迎です。大切なのは『やる気』と『覚悟』ですよ!」

先述の通り部のスケジュールが超過密な上、進学校であることから学業との両立を実現させなくてはならないが、やる気と覚悟を持って挑むことでより一層充実した高校生活を送れることだろう。

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2021年度の活動はどのように行っていますか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2020年度の大会参加状況について教えて下さい
A.参加予定だったが、出場断念した

Q.2021年度の大会参加予定について教えて下さい
A.可能な限り参加予定

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・メンバーのモチベーション維持

Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.高校生という限られた期間の中なので、感染対策は万全にした上で「コロナだから出来なかった」と思うことがないように、できる限り今まで通りの活動をしていきたいと考えている

樋口:「去年(2020年度)の3年生はコロナ禍でもモチベーションを下げずに頑張ってくれましたね。私達大人たちも生徒の気持ちに応えるべく、11月くらいに『仮想大会』を行いました。『群馬県大会』と『関東大会』と『全国大会』の3回を行ったのですが、ただの体育館練習ではなく、大会を想定した一日を過ごすというものです。日々の練習も仮想大会の日に向けて取り組んで、施設の感染対策に則り人数制限を遵守した上で観客席に保護者を入れました。演奏演技は映像に収め、年末の定期演奏会で上映しました」

コロナ禍で活動制限もある中、農二は2021年度も吹連とM協の活動を貫いた。容易ではないことだが、生徒たちの努力と熱意は人一倍だ。

樋口:「ポップスもクラシックも分野が違うだけであって一つの『音楽』だと思うんですよね。10代の若者がいろんな音楽に触れて、それぞれの向き合い方を知って、いろんな経験をしてもらいたいです。吹連とM協はコンセプトの違いはありますが、結局はいい音で吹いていい音楽をするというのは共通のことですよね。そんな中で大会に出場して、自分たちの良さや強みを模索していく。挑戦ですよね。これはきっと将来にも活きる経験になると思います」

『吹連もM協も変わらず、いい音でいい音楽をする』という樋口先生の言葉は、とても説得力のあるものだった。12月に開催予定のM協・全国大会ではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみである。

 

「東京農業大学第二高等学校吹奏楽部 EMERALD KNIGHTS」

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