「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する企画、【マーチングバンド解体新書】シリーズ。
今回は沖縄県で活動する『八重山高校カラーガード部』を紹介したい。同校の卒業生で、現在指導に携わっている浜渦華衣(はまうず・かい)さんからお話を伺った。
団体正式名称:八重山高校カラーガード部(ヤエヤマコウコウカラーガードブ)
団体所在地:沖縄県石垣市
創設年:2002年
団体の編成:カラーガード
創設目的:石垣第二中学校卒業生でカラーガード経験者が「高校でもカラーガードがしたい!」という想いから有志で同好会を立ち上げた
活動理念:「現状に満足しない向上心」、「限界を定めない」
石垣島は沖縄本島から南西に約410キロ離れた場所に位置する離島で、人口は5万1千人(2022年6月時点)。決して人口は多くないが、石垣市立平真小学校や石垣市立第二中学校は古くから積極的にマーチングに取り組んでおり、八重山高校カラーガード部(以降、八重高)もその流れを組んで発足した。石垣島のみならず、沖縄県内でも唯一のカラーガード部である。
発足から10年間ほど内製(吹奏楽・マーチングバンド経験者がドリルを作成し、振り付けは自分たちで行っていた)で活動を行っていたが、DCI(Drum Corps International)やWGI(Winter Guard International)の経験者などから指導協力を得るようになり、徐々に現在の形態へ。現在の指導者は全員が八重高カラーガード部卒業生で、「仲間と踊ることの楽しさ」を大切に活動を行っている。
浜渦:「目標に向かう中で、『現状に満足しない向上心』 『限界を定めない』をモットーにしています。勝つ事が目的ではないですが、目標を達成する為には懸命な努力が必要です。自分(チーム)の可能性を自分で決めつけるのではなく、伸びしろを信じて努力していく事で大きな成長に繋がると思っています。 また、あいさつや言葉遣い、感謝の気持ちを忘れない事、自ら発言できる環境作り、仲間とのコミュニケーション等、人として大切な事を身に付けていける部活を目指しています」
浜渦:「沖縄では昔から日常生活に音楽や踊りが溢れており、日頃から触れ合うことが多いからか、リズム感や拍を取る感覚が鋭いような気がします。琉球舞踊や八重山舞踊の経験者は、カラーガード未経験者でも上達が非常に早いように感じますね。島で暮らしていると当たり前のように感じますが、本州の指導者の方と話をすると、『石垣という風土独特の恩恵を受けているんだな』と実感することは多々ありますね」
1.練習について
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.平日は放課後に1時間半程度、週末は3~4時間(週1でオフがあります)
Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内
2.メンバーについて
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.10~20名
Q.新規加入は例年何名くらいいますか?
A.~10名
Q.脱退(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.5名以下
Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている
浜渦:「メンバーは全員石垣市民です。生まれ育ちが石垣の生徒はもちろん、中にはUターンや移住で石垣島に来た生徒もいます」
3.実際に加入するためには
Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)
浜渦:「例年8割ほどの生徒が未経験で入部してきます。残りが平真小学校や石垣第二中学校出身の経験者です」
Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円程度
浜渦:「部費は月額にすると2、3千円程度です。離島のため大会遠征費が大きな出費になりますが、これは日頃の本番出演時の謝礼等を割り当てるなどしてやりくりしています。手具に関しては、ポールとフラッグは学校の備品で、衣装も部費から制作しています。ライフルは貸与も可能ですが、生徒が自分用に各自で購入することがほとんどです。その他シューズやグローブなどの身につけるものは各自で用意となります」
Q.【コロナ1年目】2020年度の活動はどのように行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)
Q.【コロナ2年目】2021年度の活動はどのように行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)
Q.【コロナ3年目】2022年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)
Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・練習回数や大会の減少による影響で演奏演技の技術が低下した
・メンバーのモチベーション維持
Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.現在、コロナ禍や活動時間見直しのために大幅に練習時間が減ってしまいました。基礎練習や振り付け練習等、短時間でいかに効率よく練習できるか日々模索しながら練習に取り組んでいます。また、一昨年と昨年と、M協沖縄県大会・全国大会共にビデオ審査となってしまいました。今年は現地で演技できる事を期待し、日々基礎練に励んでいます。
浜渦:「石垣島は離島で、情報も多くなければ身近なライバルもいません。ただ自分たちを信じてやるのみです。簡単なことではありませんが、モットーでもある『踊る楽しさ』を大切に、支えてくれる人のために、石垣から日本一を目指して日々活動しています。この記事をご覧になった方には、離島でカラーガードを頑張っている生徒たちがいるんだということを知ってもらえたら嬉しいです」
今年制作したというこの動画、ぜひご覧いただきたい。石垣島の美しい自然を背景に繰り広げられる素晴らしいパフォーマンスに魅了されることだろう。「石垣から日本一を目指す」という目標を掲げるだけあって技術レベルは高く、素晴らしいプログラムに仕上がっている。大会などでショーを見る機会があれば要チェックだ。