【マーチングバンド解体新書】華麗なステップで世界を魅了! オレンジの悪魔「京都橘高等学校吹奏楽部」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

本連載ではこれまで日本国内の部活動や一般団体を紹介し、今回で20回目を迎えることができた。節目となる今回は、国内外から高い知名度を誇る『京都橘高等学校吹奏楽部』について紹介したい。ステップを代表とするパフォーマンスが人気の京都橘だが、部の発足や日頃の活動はどのように行っているのだろうか? 顧問の兼城裕(かねしろ・ゆたか)先生からお話を伺った。

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京都橘高等学校吹奏楽部について

団体正式名称:京都橘高等学校吹奏楽部(キョウトタチバナコウトウガッコウスイソウガクブ)
団体所在地:京都府京都市伏見区
創設年:1961年
団体の編成:ブラス(※1)、パーカッション、カラーガード(※2)
※1 編成詳細は以下の通り
木管:Fl、Picc、Cl、Sax(Sop、Alto、Tenor、Bass)
金管:Tp、Hr、Tb、Euph、Tuba
※2 マーチング活動時のみで常設パートではない
活動理念:元気いっぱい!笑顔いっぱい!夢いっぱい!

京都橘高等学校は1902(明治35)年に創設された伝統校で、元々は女子校だったが2000(平成12)年から共学校化。吹奏楽部は女子校時代の1961(昭和36)年に前顧問である平松久司(ひらまつ・まさし)先生により『橘器楽部』として16名で発足した。楽器演奏はもちろんだが、体力づくりという目的もあったそうだ。

現在は吹奏楽コンクールとマーチングコンテストの大会参加の他、全国各地でのイベント、様々なPVや映画などのメディアにも多数出演。中でも2012(平成24)年と2018(平成30)年に出演した『ローズ・パレード (※)』では京都橘独特の華麗なステップとパフォーマンス力の高さが大きな話題を呼び、国内外から注目された。

※ローズ・パレード(Rose Parade)とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナで毎年実施されるパレードの名称。元日に行なわれるカレッジフットボールの『ローズボウル』の開催前に行われ、全長5.5マイル(9km)の距離を行進する。

他の団体にはない「京都橘ならでは」なエピソード

京都橘の愛称である「オレンジの悪魔」はオレンジ色のコスチュームに由来している。実はこのコスチューム、1970(昭和45)年から現在まで50年以上受け継がれている。ショーコンセプトに合わせ毎年衣装を刷新する団体も多いが、京都橘のように「いつもの」コスチュームが長年受け継がれることは非常に素晴らしいことだ(見る人にとっても、ひと目でどの団体か分かるというのはありがたいことでもある)。

また、部内にはたくさんの役職・係が存在し、部員一人ひとりが一役職以上を担う「係活動」制度を実施している。これに近い制度は横浜ロビンズでも実施されていたが、一人ひとりが運営に参加し活動を進めていくのは当事者意識を高める点で有効的だ。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.平日全て(授業終了後)+休日
※テスト期間を除く

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

兼城:「以前はダンス(ステップ)の練習に一日を費やしたりするという時期もあったようですが、今は大会前などの特殊な状況を除いて『吹奏楽の練習』と『マーチングの練習』の日を区切らず練習を行っています。MMも毎日やります」

2.メンバーについて

Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い

兼城:「生徒のほとんどが京都府民ですが、関西(大阪、兵庫、奈良、滋賀)や東海(三重)から、北海道、神奈川、広島などから進学してきた生徒もおります」

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.100名以上

2021(令和3)年度は91名が所属し、男女比は1:9と女子がほとんどだったそうだ。

3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

入部する生徒のほとんどが経験者で、初心者はほとんどいないそうだ。「初心者NGというわけではない」そうだが、伝統校・強豪校ということから自然と経験者が集まるのだろう。

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.16~20万円
※活動状況に応じて変動あり

京都橘の部費は年額3万6千円で、その他遠征などの際に費用が発生するそうだ。

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.特になし

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.【コロナ1年目】2020年度の活動はどのように行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.【コロナ2年目】2021年度の活動はどのように行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.【コロナ3年目】2022年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)

Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.コロナ禍であっても高校生活は3年間。できる限りの活動はしたいと思っています

京都橘はコロナ禍でも部員数は維持できたが、中学生との合同練習などの機会が減った(なくなった)ことや、出演予定の本番が中止になるなどの事態に見舞われた。特に、精力的に演奏本番に参加していただけに、活動機会の損失は痛手だったそうだ。

2022年はコロナ禍収束の兆しが見え始めたこともあり、多くのイベントが復活しそうだ。公式ホームページ上の年間スケジュールにもたくさんの出演予定が記載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

「元気いっぱい!笑顔いっぱい!夢いっぱい!」に活動する京都橘吹奏楽部は、気持ちが沈みがちな現代社会にとってビタミンのような存在だ。一生懸命に頑張る姿勢は、見る人に希望や勇気を与えてくれる。落ち込んだときは京都橘のパフォーマンスを見て、オレンジ色のエナジーを注入してもらおう。

「京都橘高等学校吹奏楽部」

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