【マーチングバンド解体新書】コロナ禍だって“やる鹿”ない!「NARAGAKU Marching Band」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回紹介するのは、関西地区で活動する新進気鋭の一般バンド『NARAGAKU Marching Band』。顧問の大西雅博(おおにし・まさひろ)先生と監督を務める知念奈巳(ちねん・なみ)さんからお話を伺った。

※取材日は2021年9月中旬

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

NARAGAKU Marching Bandについて

団体正式名称:NARAGAKU Marching Band(ナラガク マーチングバンド)
団体所在地:奈良県生駒郡三郷町 ※奈良学園大学内
創設年:2014年
団体の編成:ブラス(金管+木管)、バッテリー、フロントピット、カラーガード
活動理念:メンバー一人一人の人間力を高め、社会に貢献できる人材の育成

NARAGAKU Marching Band(以下、NARAGAKU)は、2014年に奈良産業大学が奈良学園大学へ名称変更をした際に『奈良学園大学マーチングバンド部』として創部。当初は学生のみのクラブ活動だったが、初年度入部の部員が卒業した2018年から『NARAGAKU Marching Band』として一般化された。

大西:「校名変更時の学長と学部長がマーチングバンドに対する評価が大変高く、『学校教育の柱としてマーチングをぜひ取り入れたい』ということで創部に至りました。一般化したのは、卒業生が戻ってこられる環境を作ってあげたいというとこらからです」

他の団体にはない「NARAGAKUならでは」なエピソード

先述の通り、NARAGAKUは部活動として入部し、卒業後も一般参加メンバーとして同じバンドに在籍し続けることが可能だ。部活動となると学生の期間のみに限られるが、NARAGAKUでは、本人が望む限り一生青春を謳歌することができる。在籍期間中に年齢を重ね、ライフステージに変化があっても、帰るべき「ホーム」がそこにあるというのはとても素晴らしいことだ。

また、大学施設内に本拠地を置いているのも大きな特徴の一つだ。

知念:「構内にはマーチングバンド部がほぼ専有で使用している体育館のほか、ステージドリル練習ができるサイズの屋上練習場、クラブハウスには各セクション練習ルームや個人レッスン専用ルームが完備されています。また、鏡張りで天井が高いカラーガードの練習場もあります。練習環境については非常に恵まれていると思います」

一般バンドの悩みのタネである「練習場所の確保」だが、この点がクリアできているだけでもかなり大きい。これこそ大学内に本拠地を置く団体の最大の利点だろう。大学進学後もマーチングを続けたい! と考えている高校生にとっては理想的な環境ではないだろうか。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週2回(土日両方、平日+土日どちらかなど)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.100名以上

大西:「2021年度は123名おります。学生と一般メンバーの割合は7:3くらいで、学生が多いです」

Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.19~22歳

Q.新規加入者は例年何名くらいいますか?
A.20~30名

Q.退団者(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.20~30名

Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている

大西:「学生は日本全国津々浦々から集まっており、大学の近くにあるマーチングバンド部専有マンションで生活しています。そのため『奈良県内』とさせていただきました。現在、北は青森県、南は沖縄県の吹奏楽・マーチング経験者が本校へ入学し活動しています」

団体HP内に記載されたメンバー出身校を見ると、吹奏楽連盟やマーチング協会の強豪校の名が目を引く。現在はコロナ禍のため難しい状況だが、これらはかねてから大西先生がプロ野球のスカウトのように全国の強豪校へ出向き、学校案内や進学案内を行ってきたことも大きい。高校時代に打ち込んできた部活動の成果が評価されることは生徒にとっても喜ばしいことであり、将来への希望も持てる。また、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーと共に一つのショーを作るのは、とてもやりがいのあることだろう。

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか?
A.原則18歳以上

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)

知念:「経験者がほとんどですが、マーチング初心者もいますよ!」

大西:「うちは『やる気があれば未経験者もOK』なんです」

経験者だらけの中で初心者メンバーは実力差に苦労しないのだろうか? と聞くと、

知念:「初心者のメンバーは、びっくりするくらいやる気がすごいんです。貪欲な姿勢に先輩たちが手を差し伸べるような感じで、特別に何かケアをすることもなく自分達でグングン成長していくんです。ドリルを覚えるのに最初少し苦戦するようですが、慣れたら問題なく練習に参加していますよ。初心者メンバーが入ることによって苦労を感じたことはないですね」

と返ってきた。大西先生によると「初心者として大学一年生で入ってきたのに、三年時には譜面のアレンジをしていた学生もいた」とのこと。周囲に引き上げられる形で上達できる環境なのだろう。

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.学生メンバーと一般メンバーによって金額が異なる

NARAGAKUの活動費用は、学生メンバーは「5千円✕12ヶ月」の6万円のみで、それ以外の費用の徴収は発生しない。一般メンバーも同じく年間6万円だが、遠征費などは実費徴収が発生する。学生メンバーと一般メンバーは完全別会計となっており、年度末の決算時に余剰分が出たら返還されることもあるそうだ。また、楽器はもちろん衣装やフラッグ、ポールなどは大学の備品として貸与され、消耗品や歓送迎会の費用など全員で共有するものは部費・団費から支払われる。

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.
1.関西大会・全国大会への出場が可能であること
2.年度途中での退団を認めない

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2021年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2020年度の大会参加状況について教えて下さい
A.予定どおり出場した

Q.2021年度の大会参加予定について教えて下さい
A.可能な限り参加予定

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・練習回数や大会の減少による影響で演奏演技の技術が低下した
・メンバーのモチベーション維持
・全体練習の機会が減った

知念:「2020年は8月末から全体練習を行うことが出来ましたが、その後も感染症拡大の影響から断続的に休止を余儀なくされました。2021年も4~5月は休止、6月に入りようやく活動再開できましたが、学生のみで、一般メンバーは7月に入ってからようやく合流できました。しかし8月に入ってから再び感染症拡大の影響で再び活動休止となり、9月現在も休止継続中です」

Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.メンバーはマーチングをしたくて入団していることから、その気持ちを大事にし、できる限りのことはしたい。

大西先生によると、せっかくマーチングを続けたくて全国から入学してきた学生のためにも、卒業後もマーチングを続けたいと思っているメンバーのためにも、可能な限り歩みを止めずにいたいとのことだった。

8月にはM協・奈良県大会の中止が決定し、11月の関西支部大会も開催が確約されているわけではない。しかし、休止中もメンバーは自主的に考え、行動し、来たるべきときのためにやれることを工夫して続けている。

知念:「団体としても試行錯誤中です。見学会の規模を縮小して実施したり、LIVE配信を行うほかSNSの更新も増やし、本番がなくても『メンバーの一員である』という自覚を持たせるために様々な取り組みを行っています。早くまた全体練習を再開できる日が来ることを願っています」

マーチングバンドを「学業の付属」の部活動という位置づけから教育の柱に据え、更にライフワークとして活動環境を提供する奈良学園大学とNARAGAKU Marching Bandの取り組みは素晴らしいものだ。だが、マーチングバンドという「密にならざるを得ない」特性は、今の状況下では致命的ダメージを受けているかもしれない。しかし、逆境を乗り越えるときこそ必要なものが学友やバンド仲間であり、音楽や芸術だ。NARAGAKUがこの状況を一致団結して乗り越え、大会で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることを期待したい。

「NARAGAKU Marching Band」

▶︎Website

▶︎Twitter

▶︎facebook

▶︎Instagram

▶︎Youtube

keyboard_arrow_up

Pearl
野中貿易