「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する企画、【マーチングバンド解体新書】シリーズ。今回は『SENDAI Verdures』について、代表を務める相沢茂紀さん(あいざわ・しげのり)さんにお話を伺った。
団体正式名称:SENDAI Verdures(センダイ ヴァーデュアーズ)
団体所在地:宮城県仙台市
創設年:1991年
団体の編成:ブラス、バッテリー、フロントピット、カラーガード
創設目的:1990年に宮城県で開催された高校総体(インターハイ)の合同バンド演奏がきっかけとなり、『もう一度マーチングをやろう!』ということで翌1991年に結成
活動理念:明るく・楽しく・元気よく!
SENDAI Verduresは仙台に本拠地を置く一般バンドで、東北の豊かな自然を想起させる深い緑色のユニフォームが特徴だ。『まるば』の愛称で親しまれ、2021年には結成30周年を迎えた。
相沢:「僕は小学校でマーチングバンドを始めたのですが、中学校で入ったのがマーチングバンドをやらない吹奏楽部でした。高校生のときに行われた宮城インターハイで、数校合同でマーチングをやることになり、小学校の先輩や先生に再会したんです。その時に『またマーチングをやろうと思っているんだ』というお話を伺って、賛同したのがきっかけです。現在は中学生から40代までが所属していますが、結成当時は高校生や大学生が中心となって活動していました」
相沢:「私達はお互いが助け合う、家族のようなあたたかさのあるチームだと自負しています。外部の指導者の方から『アットホームなあたたかさのあるバンドだね』と言われることもよくありますね。練習の内容がゆるいのもかもしれませんが(笑)年齢関係なく、お互いに声を掛け合って取り組んでいます。それがマーチングのいいところですよね」
1.練習について
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週2回(土日のいずれか、あるいは両方)
Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内(基本的に屋内だが、屋外の場合もあり)
2.メンバーについて
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.71~75名
ちなみにVerduresには、ブラス・ドラム・カラーガードのほかにサポートスタッフがおり、上記回答は「大会参加メンバー 59名」+「サポートスタッフ15名」の合算となる。
サポートスタッフは大会や本番時のメンバー補助、手具等の制作、楽器運搬トラックの運転や楽器奏庫の管理・清掃からメンバーの子どものお世話(練習や本番時)まで、「演技以外のありとあらゆる面で」サポートしてくれるとのこと。
Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.23~25歳
相沢:「自分でも計算してみて驚いたんですが、一般団体の中では比較的平均年齢が高めかもしれませんね。今年は一番多いのが大学生メンバーで、ブラスとピットに中学生もいますが、一番上は40代までが所属しています。継続年数は人にもよりますが、受験のためのお休み期間を経て、平均5~6年といったところでしょうか」
Q.新規加入は例年何名くらいいますか?
A.10~20名
Q.脱退(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.10~20名
Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている
(県外からの参加者も若干名あり)
3.実際に加入するためには
Q.年齢制限はありますか?
A.中学生以上〜体力の続く限り(上限なし)
Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)
※バッテリーパーカッションはスポットの数に応じてオーディションを行うことがあります
Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.11~15万円
Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.団費を納入する事
相沢:「Verduresの活動費は年額72,000円(6,000円✕12ヶ月)としています。数年前から『新入団員に限り初年度の活動費用は年額の半分を一括納入』とさせていただくことにしました。苦渋の決断ではありますが、途中脱退を防ぐための処置でもあります」
(注:やむを得ない事情による脱退の場合は返金対応も行っている)
なお、大会参加メンバーには下記費用が別途発生するとのこと。
・大会参加登録費 5,000円(年度毎)
・合宿費 20,000円程度
・遠征費 30,000円程度(DCJ All Japan Championships、M協全国大会の2回)
※追加費用は活動状況や社会情勢により変動するため、近年の参考値を掲載しています
Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)
Q.2021年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)
Q.2020年度の大会参加状況について教えて下さい
A.予定どおり出場した
Q.2021年度の大会参加予定について教えて下さい
A.可能な限り参加予定
Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.
・所属メンバーの減少
・練習場所の確保
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった
2020年は感染症拡大の影響から4~5月の活動を休止し、活動費も返納。5月以降は土・日に練習を再開したそうだ。2021年は結成30周年記念の演奏会を行ったが、無観客開催となった。せっかくの披露の場を奪われ、OB・OGも楽しみにしていただろうに……と相沢さんは悔やんでいた。
相沢:「昨年の活動再開後も、職場や学校で感染者や濃厚接触者が発生した場合は欠席をお願いするなどの独自ルールで運用をしてきました。注意喚起されている通りの感染対策は行っていますが、未知のウイルスとの戦いなので困難を強いられています。更にはコロナ禍とメンバー募集の時期が重なって、練習見学などのリクルート活動に支障が出てしまいました。2年連続で所属メンバーの数も減少傾向にあります。こういった状況下では、本人がやりたくても家族の理解を得るのが大変という方もいるでしょうし……」
Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.これまでの経験を踏まえ、感染対策をした上で活動を続ける事は可能だと考えております。メンバーが毎日の生活を意欲的に取り組むためにも、マーチング活動にも目標を持って励む事は意義のある事だと考えています。
今年はM協・宮城県大会と東北大会に出場し、目標である全国大会を目指すとのこと。また、結成30年を迎えたことから、状況が落ち着けばOB・OGなどとの交流やAlumni(アルムナイ:卒業生)活動も始めていきたいと相沢さんは話していた。
Verduresは、2011年には東日本大震災で被災も経験している。結成から30年、幾多の困難に立ち向かい、乗り越えてきた強い団体だ。今もまだコロナ禍で不安な状況が続くが、これからも見る人に勇気や感動を与え続けてほしい。
「SENDAI Verdures」
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