【マーチングバンド解体新書】マーチングに没頭して燃え尽きたいなら「YOKOHAMA ROBINS」へ!

写真提供:フォトクリエイト

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する企画、【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は、多くのマーチングファンから人気を集める国内屈指の大編成バンド『YOKOHAMA ROBINS』を紹介したい。発足から現在に至るまでの歩みや、コロナ禍の昨今ではどのような活動をしているのかなどを隊長の知野凌太郎(ちの・りょうたろう)さん、運営リーダーの長尾知樹(ながお・ともき)さん、常任の鈴木蓮(すずき・れん)さんに伺った。新年度から入隊を考えている方にとって参考情報となれば幸いだ。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

YOKOHAMA ROBINSについて

団体正式名称:YOKOHAMA ROBINS (ヨコハマロビンズ)
団体所在地:神奈川県横浜市
創設年:1990年
団体の編成:ブラス、バッテリー、フロントピット、カラーガード
活動理念:「マーチングを通して社会活動を経験し、音楽を通して人生を豊かにすること」、「ひたむきに夢を追いかける事ができる環境を作ること」

YOKOHAMA ROBINSは、横浜市立小坪小学校卒業生の「卒業後もマーチングを続けたい」という声をきっかけに、米谷学(よねたに・まなぶ、YOKOHAMA ROBINS代表)を中心に1990年に設立された。当時は小坪小OBバンドとして23名でのスタートだったが、活動を続けるにつれ他校OBも続々と加入し、1990年代後半から2000年代初頭にかけて神奈川県内や近郊の高校マーチングバンド経験者が多数入隊する「第一次成長期」を迎える。
大編成バンドとして定着してからは、大会実績はもちろん、テレビや歌手のPV・コンサートなどのメディア出演なども増え、知名度が飛躍的に向上。そして2021年度は過去最大人数が所属し、「第二次成長期」の真っ只中である。

他の団体にはない「ロビンズならでは」なエピソード

ロビンズの特徴といえば、ブリティッシュスタイルを採用している点だ。パーカッション(バッテリー、ピット)とカラーガードについては一般的なマーチングバンドと同様だが、管楽器はコルネット、トランペット、メロフォン、トロンボーン、バリトン、ユーフォニアム、チューバで編成されている。「マーチングならではのブラスの厚みを持ちながら、柔らかい音を追求する」という創設時からのこだわりがあるそうだ。

また、ロビンズではショープログラム決定後、楽曲に対する理解を深める「座学の時間」も設けられている。クラシック楽曲であれば作曲者の人物像や作曲当時の時代背景などを学び、プログラムに込められたテーマやイメージを一人ひとりに落とし込んだ上で練習が行われている。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.基本的に土・日・祝日
(大会などの本番前は平日にも3時間程度の練習が行われることがある)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.100名以上

Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.19~22歳

Q.メンバーで一番多いのは…
A.大学・専門学校生

Q.所属メンバーの居住地は…
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている

メンバーの過半数が神奈川県内在住で、残りの半数近くが東京都在住、埼玉県と千葉県在住が若干名。以前は静岡県や新潟県から通うメンバーもいたが、現在はコロナ禍の影響もあってか遠方から参加するメンバーはいないそうだ。

Q.新規加入者は例年何名くらいいますか?
A.40~50名

Q.退団者(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.40~50名

ロビンズはここ2〜3年ほど100名以上を維持しており、2021年度は過去最多の162名が所属(中学生14名、高校生20名、大学生97名、社会人31名)。13歳から35歳までが共に活動している。平均継続年数は2~3年程度だが、小学校のクラブなどでマーチングを始める〜中学でロビンズに入隊〜高校は部活動(吹奏楽、マーチングバンド)〜大学・専門でロビンズに戻ってくるという、”母川回帰”を果たすメンバーも一定数いるそうだ。

長尾:「長引くコロナ禍の影響から、思うように部活(マーチング)を出来なかった学生たちが『もっとマーチングをやりたい、燃え尽きたい!』という気持ちを抱いてロビンズに入隊するという印象があります。ロビンズは練習に参加してショープログラムをこなすだけでなく、一人ひとりに役割が与えられるので、マーチングに没頭したいという人にはピッタリの団体だと思います」

一般団体といえば事務局やテクニカルスタッフが運営・制作を司り、メンバーは方針に従い練習に励む――という構図が思い浮かぶが、ロビンズはひと味違っていた。

知野:「ロビンズで活動するにあたってメンバーはパートリーダーや係など何かしらの役割を担います。これは『一人ひとりの所属意識を高め、バンドの成長に貢献する』ことが目的です。役職のあるメンバーは運営上大きな裁量権を与えられます。例えば普段の練習の進行から、また、入隊説明会の進行も担当メンバーが行います。過去にテレビメディアに出演した際も、先方との打ち合わせは担当メンバーが対応しました」

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか?
A.13才以上

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)

オーディションに関して、バッテリーパーカッションは毎年実施しており、カラーガードはウェポンのみ実施とのこと。ブラスはスキルチェック程度(全員)だそうだ。
「初心者お断り」ということでもなく、過去には木管楽器経験者でブラスメンバーになったりするなどの例もあり、以前は完全なマーチング初心者も所属していたことがあるとのこと。

長尾:「経験者であっても練習はそれなりにハードですが、初心者でもガッツがある方は歓迎します。喰らいついてきてください!」

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.継続メンバーは16~20万円程度、新規メンバーは21~30万円程度(衣装の購入があ
るため)

参考までに:
・入隊金 1万円 ※新規入隊時のみ
・活動費 年額7万円

その他、衣装一式・合宿費・遠征費・各セクションに関わる備品等の費用が発生するとのこと(詳細については要問合せ)

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.バンド全体の技術の向上、メンバーのモチベーションを保ち続ける為、ほとんどの土日祝日の練習や大会等に参加可能な方

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2021年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.

・練習場所が確保できない
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・メンバーのモチベーション維持

Withコロナでの活動について、隊長としての見解を伺った。

知野:「YOKOHAMA ROBINSは『青少年の健全な育成』を活動理念に掲げ、2021年度現在バンド関係者の安全を最大限に配慮し感染対策を徹底した上で、自治体等の指示に従い最適な活動を続けています。マーチングを通じた健全な育成とは何か――答えは様々ですが、150名を超えるチームが一丸となり作品を創る中で得る『学び』だったり、披露したときに得られる『達成感』や『心の豊かさ』は、間違いなくメンバーをはぐくみ育てるものだと思います。コロナ禍の影響で他者との密なコミュニケーションを取れる環境が激減した状況において、メンバーが思う存分マーチングに没頭できる環境を保つことがどれほど重要で意義深いことかを実感しています。未だこの難局に終わりは見えていませんが、今後も活動を続けるために模索の限りを尽くしていきます」

自分たちが乗る船の舵を自分たちの手でしっかりと握り、荒波を乗り越え1シーズンを全うすることで芽生える『自信』や『誇り』は、ロビンズ成長の原動力であり、何よりメンバーにとってかけがえのない人生経験になるだろう。

運営スタッフの鈴木さんは、「ロビンズのメンバーはみんなロビンズのことが大好きなんです。私もロビンズが大好きな一人です。大好きな団体の仲間だから、メンバー同士もお互いに尊重し合っています」と話す。好きなことを好きな団体と仲間でやりきって、全力で燃え尽きて真っ白な灰になっても、仲間が100人以上もいるのだから心強いだろう。もしあなたの心の中に燻る火種があるのなら、ロビンズを訪れてみると良いかもしれない。

「YOKOHAMA ROBINS」

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