【マーチングバンド解体新書】活動初年度に全国金賞!快挙は偶然ではなく必然「東海学院大学Jr.マーチングバンド」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

これまで多くの歴史ある団体を紹介してきたが、今回は2022年に発足したばかりの『東海学院大学Jr.マーチングバンド』を取り上げたい。発足初年度からマーチングバンド全国大会(日本マーチングバンド協会主催)に出場し、見事金賞を受賞し話題になったことは記憶に新しい。発足の経緯や活動内容について、監督を務める江口邦彦(えぐち・くにひこ)先生からお話を伺った。

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東海学院大学Jr.マーチングバンドについて

団体正式名称:東海学院大学Jr.マーチングバンド(トウカイガクインダイガクジュニアマーチングバンド)
団体所在地:岐阜県各務原市
創設年:2022(令和4)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション、カラーガード
※金管:Tp、Mello、Tb、Euph、Tuba
活動理念:団員一人一人が考えて活動をすること

東海学院大学Jr.は2022(令和4)年5月に始動したフレッシュな団体だ。拠点とする岐阜県各務原市には小学校3年生から6年生が活動する『各務野さくらマーチングバンド』があり、県内にはマーチングバンドの活動が盛んな岐阜県立岐阜商業高等学校や美濃加茂高等学校、関市立関商工高等学校もあるが、中学生がマーチング活動できる団体がなかったそうだ。そのため、マーチングをやりたい中学生の活動の場として創設された。

江口:「各務原市にある小学生のクラブチーム『各務野さくらマーチングバンド』の卒団生から、中学生でもマーチングバンドがやりたいという強い思いから当団はスタートしました。また、2022(令和4)年4月、東海学院大学が大学生の強化クラブとしてマーチングバンドを設立しました。同大学では、地域の文化スポーツの拠点となるべく、中学生のクラブチームも合わせて設立しました。大学生が実際に中学生を指導する事で指導スキルを身に付け、地域の指導者として貢献できる事も目的の一つとなっています」

なお、学校部活動と並行しての活動も可能なため、吹奏楽との二刀流も叶えられるとのこと。

 

他の団体にはない「東海学院大学Jr.ならでは」なエピソード

江口:「同じ地域に各務野さくらがあるため、東海学院大学Jr.には、中学1年生でもマーチング歴5年目の団員も居れば、初心者で中学3年生で入団する団員もいます。練習では、中学1年生が中学3年生を指導する事も珍しくありません」

各務野さくらは小3生からの参加だが、それよりも低学年の児童には「スーパーキッズプログラム」という取り組みを通じて音楽やマーチングに親しむ機会を設けている。小学校低学年の児童にとって、5メートル8歩基準のMMや10分弱のショーパフォーマンスは非常にタフなものだ。また、大会シーズンともなればしっかりと基礎を身につける時間もなく、慌ただしくシーズンが進んでしまう。そのため、心身ともにある程度の発育を遂げるまでは、リトミックや風船を膨らませたりなどを通じて基礎体力を養い、限定的な音域の曲に挑戦してじっくり音楽の素養を育むプログラムを実施しているそうだ。

さらには前述のように東海学院大の学生たちも東海学院大学Jr.の指導にあたっており、全方位でしっかりとした体制が作られている。もうここまで聞けば、「なぜ東海学院大学Jr.は活動初年度なのにM協全国大会で金賞が取れたのか?」という疑問も解消されるだろう。手にした結果は偶然ではなく、しっかりとした土台の上に成り立った必然だったのだ。

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週2回(土日両方、平日+土日どちらかなど)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

江口:「練習時間は基本的に平日2時間、日曜午後3時間です。練習場所は東海学院大学の体育館を使用しています。大学の体育館は冷暖房完備で練習環境は恵まれています

 

2.メンバーについて

Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.42名

江口:「発足初年度の2022年は32名でしたが、2年目はメンバーが増えました」

 

3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.年間9万円

東海学院大学Jr.では、月額5千円✕12ヶ月の活動費用と、大会時などに別途遠征費が発生する。衣装は全セクション無償貸与となっており、クリーニング代、衣装インナー、靴は個人負担。

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.加入年齢は中学1年生から3年生まで。メディアの取材や各種SNSにおいて、肖像権が委任できる方。

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・企業イベント
・スポーツイベント(プロチーム主催ゲームのゲスト演奏など)
・演奏会などの自主公演

Q.コロナ禍で困ったことは何ですか?
A.コロナ禍以降に発足した団体のため影響はありませんでした

スーパーキッズプログラムで音楽に触れた児童が、各務野さくらでマーチングバンド活動を始め、東海学院大学Jr.で更に研鑽を磨く。高校からは部活動や一般団体などで活動し、その後東海学院大学へ進学したら、今度は自分の卒団した東海学院大学Jr.の生徒たちを指導する側に回る――これは新たなアートのエコシステムといっても過言ではないだろう。プレーヤー人口減少や練習場所探しが困難なマーチング界受難の現代において、こうした地域一体となった取り組みはどのような影響を与え、どのような未来を切り開くだろうか。
エコシステムの一翼を担う東海学院大学Jr.は、創設2年目ということで、これからどんな大会やイベントに出て、どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか? 全国大会での鮮やかなショーは非常にインパクトがあり、もっといろいろなプログラムを見てみたいと思わせてくれた。これからも活動に注目していきたい。


◆出演情報
『茨城県立大洗高等学校マーチングバンド「BLUE-HAWKS」特別演奏会』
 日  時:2023年8月3日(木)開場 17:45、開演 18:15
 会  場:プリニーの市民会館
 チケット:2千円
 出演団体:茨城県立大洗高等学校マーチングバンド「BLUE-HAWKS」
 ゲ ス ト:東海学院大学Jr.マーチングバンド、つつじが丘ジュニアマーチングバンド、各務野さくらマーチングバンド、関ブリリアントバトンクラブ
(チケットの購入方法やお問い合わせ先など、詳細はフライヤー画像よりご確認ください)

東海学院大学Jr.マーチングバンド

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