【マーチングバンド解体新書】華やかなショーと豊かなサウンドが観る人の心を掴む「専修大学熊本玉名高等学校 Ventures」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は、表現力豊かな華やかなサウンドと鮮やかな色彩が印象的な『専修大学熊本玉名高等学校  Ventures』を紹介したい。日頃の活動や部の様子について、顧問の浜田悟(はまだ・さとる)先生と後藤千穂(ごとう・ちほ)先生からお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

 

専修大学熊本玉名高等学校  Venturesについて

団体正式名称:専修大学熊本玉名高等学校  Ventures(せんしゅうだいがくくまもとたまなこうとうがっこう ベンチャーズ)
団体所在地:熊本県玉名市
創設年: 1991(平成3)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション(バッテリー+ピット)、カラーガード
※編成はTp(B♭、E♭)、A Hn,F Hr、Tb、Euph、Tubaで、ブリティッシュスタイルを採用
活動理念:「私達の演奏演技で笑顔を届ける」

専修大学熊本玉名高校がある玉名市は、熊本県の北部に位置する都市で、有明海と小岱山(しょうだいさん)の山地を有する風光明媚な地区だ。市内には有名な温泉があり、観光地や保養先としても知られる。専修大学熊本玉名高校は全校生徒400名の私立高校で、2023(令和5)年に創設60周年を迎え、同年4月1日には校名を専修大学玉名高等学校から現校名へ変更した。部活動が盛んで、甲子園出場経験のある野球部をはじめ、陸上部、駅伝部、剣道部は県下でも常に上位の成績を収めている。

Venturesは現顧問によって1993(平成3)年に創設され、ブリティッシュバンド編成でマーチングを主体として活動している。コンテストはマーチングバンド全国大会のみ出場し、日本マーチングバンド協会の九州支部大会、マーチングバンド全国大会を目標に励んでいる。第50回全国大会にて金賞・編成別最優秀賞、第51回全国大会でも金賞を受賞する実力校で、全国大会常連校として注目を集めている。

 

他の団体にはない「Venturesならでは」なエピソード

様々なお話を伺う中で、他の団体との違いを感じたのは「ショープログラムの組み立て方」だった。ショープログラムについて浜田先生はこう話した。

浜田:うちではバラードに力を入れていて、最初にバラードの曲を決めてから前後の曲を決めるやり方でプログラムを組み立てています。ショーにおけるバラードの割合は大きく、プログラムによっては3分くらいあります。ここまで長いバラードをやる金管バンドは他にあまりないと思います。

確かに、最大でも8分30秒以内(※)という演奏規定の中で、1/3近くをバラードに費やす団体は珍しい。Venturesのショーは起承転結が明瞭で、はつらつとした印象を持つ人も多いだろう。独創的な衣装やプロップも相まってポップな雰囲気も強いが、その土台は、基礎力に加え表現力やアンサンブル能力も求められるバラードだったのだ。

※日本マーチングバンド協会主催第51回マーチングバンド全国大会「実施規定」より
3.演奏演技(3)タイム「高等学校・一般の部:9分30秒以内」これに加え、②演奏演技開始「審査準備のため、入場開始後1分間は演奏演技を開始することができない」ことから、8分30秒とした。

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.平日は放課後毎日2~3時間、土日は終日(不定期で休みあり)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内(体育館を運動部とシェア)

 

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.42名

部員数は例年40〜50名くらいとのこと。学校方針から部活への参加は任意だが、全校生徒の1割がメンバーと考えると比較的参加率は高い方だろう。なお、Venturesは補欠なしの「全員レギュラー」で取り組んでいる。

Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている

学校所在地の玉名市や隣接の熊本市はもちろん、隣県の福岡県(北九州)、大分県や長崎県出身の部員もいるそうだ。校舎から徒歩3分の場所に学校の寮があり、遠方の地域出身の生徒が利用しているとのこと。

 

3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

浜田:基本的に吹奏楽経験者が殆どで、初心者もいますが1割程度です。現在はそういう状況ですが、初めて全国大会に出場したときは8割が初心者でした。

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.活動内容による

部費は6千円/月で、遠征費は目的地や内容に応じて発生する。衣装は全セクション無料貸与で、靴のみは自前での用意が必要となる。経験者が多いことからブラスは自前楽器の利用率が高いそうだが、楽器は無償貸与で、修理費用は個人所有・学校所有を問わず無償とのこと。バッテリーの場合のヘッドやスティック等も無償で、カラーガードの手具のポールは一本目を学校で用意してくれるそうだ。

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・演奏会などの自主公演

このほか、九州地区の小学校で出前演奏を行う「スクールコンサート」も年に数回行っているそうだ。

Q.コロナ禍で困ったことは何ですか?
A.
・所属メンバーが減った
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)

浜田:新型コロナウイルス感染症に限らず、インフルエンザ等にも悩まされました。メンバーが全員揃ったのが大会本番だけだった、ということもありました。先日(2023年12月)のマーチングバンド全国大会も、当日まで全員揃わず、当日現地入りしたメンバーもいました。

全国大会当日では堂々たる演奏演技を披露し、アリーナいっぱいに豊かなサウンドを響かせていただけに、このようなトラブルがあったとは想像に及ばず驚きだ。しかし、いつでもどんなときも高いクオリティのパフォーマンスができるというのは、日々の練習の賜物だろう。

なお、2024年3月20日(水・祝)には、熊本県立劇場演劇ホールにて『第25回定期演奏会』を開催予定とのこと。「昭和歌謡メドレー、ブギウギの世界をお届けします!清く正しく面白いオリジナルビューショーをお楽しみください!」とのこと。楽しい時間を過ごせること間違いなしの演奏会だ。近隣在住の方は足を運んでみてはいかがだろうか。

日時 令和6年3月20日(水・祝)
場所 熊本県立劇場 演劇ホール
開場 12時30分/開演 13時30分
全席指定席 S席 1500円 A席(2階席)1000円
販売日  2月15日より県立劇場、インターネットチケットサービス及び学校事務室にて販売

専修大学熊本玉名高等学校  Ventures

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