【マーチングバンド解体新書】晴れやかにサキホコレ!「大仙市立大曲中学校吹奏楽部」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は、吹奏楽(座奏)とマーチングの両立を長年続けている『大仙市立大曲中学校吹奏楽部』を紹介したい。日頃の活動や部の様子について、顧問の加藤郁子(かとう・いくこ)先生からお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

大仙市立大曲中学校吹奏楽部について

団体正式名称:大仙市立大曲中学校吹奏楽部(だいせんしりつおおまがりちゅうがっこうすいそうがくぶ)
団体所在地:秋田県大仙市
創設年: 学校創立時(2023年度で62期目)
団体の編成:編成詳細は以下の通り
吹奏楽
 木管:Picc,Fl,Cl(Es,Bass),Sax(Alto,Tenor,Baritone)
 金管:Tp,Horn,Tb,Euph,Tuba
 パーカッション+St.B
マーチング
 木管:Sax(Sop,Alto,Tenor,Baritone)
 金管:Tp,Mello,Tb,Baritone,Tuba
 パーカッション:バッテリー+ピット
 CG:吹奏楽でPicc、Fl、St.B担当生徒を中心に持ち替え

活動理念:
「お客様に楽しんでいただく」
「部員、保護者、指導者、応援してくださる方、みんなでチーム曲中(きょくちゅう)」

大曲中学校のある秋田県大仙市は、2005(平成17)年3月に大曲仙北地域の8市町村が合併して誕生した市で、秋田県内では秋田市、横手市についで人口規模が第3位という街である。学校自体は1963(昭和38)年に大曲市立大曲中学校と大曲市立花館中学校を統合して設立されており、翌1964(昭和39)年に大曲市立四ツ屋中学校も統合している。2023(令和5)年度時で各学年8クラス、全校生徒750名というマンモス校だ。

吹奏楽部は学校創立時からあり、吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテスト、地区吹奏楽連盟の演奏会などの座奏と、日本マーチングバンド協会主催大会などのマーチング活動の二刀流で多くの実績を残している。

 

他の団体にはない「曲中ならでは」なエピソード

加藤:「保護者会の組織やバックアップ体制が盤石なところは、特徴の一つとして挙げられると思います。保護者の皆さんの『子どもと一緒に頑張る!』という想いは、部の大きな支えです。部員と同じ方向を向いて協力してくださる保護者会の皆さんのおかげで、滞りなく活動できていると日々実感しています」

公立学校ということから、顧問の異動や、コロナ禍など幾多の局面を迎える度に保護者会の存在に助けられたという。学校組織や部活動のあり方が変わっても、保護者会は変わらず支援を続けてくれたそうだ。特にマーチング活動においては、使用する衣装やプロップの制作協力や地域の体育館など練習会場予約、練習場所への送迎(自家用車乗り合い)の協力など、協力内容は多岐に渡る。また、かつて生徒として部に所属していた子どもが成長し、保護者として部に携わってくれる例もあるという。

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週5日以内(平日4日+土日どちらか1日など。土日の活動は大会前などの状況による)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

加藤:「曲中は部活動が盛んな学校で、野球部、女子バレーボール部、柔道部、卓球部などが全国大会出場レベルで活動しています。そのため学校の体育館を吹奏楽部だけが専有して使用することは難しく、地域の体育館などを使用することもあります」

 

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.59名

 

3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

加藤:「小学校で金管バンドをやっていた生徒が多く、部員の9割くらいが楽器やマーチング経験者です。そのため、吹奏楽編成では木管を担当して、マーチング編成になると金管に持ち替えても違和感なく演奏できるという生徒が複数います」

しかし、中学校卒業後に秋田県内でマーチングを続けることができる学校や団体が限定的なため、活動の場を求めて他の都道府県に行くというケースもあるそうだ。結果として秋田県内のプレーヤーが減る状況が長く続いており、加藤先生は「活動が盛んな地域との格差が埋まらずにいると感じています」と話していた。また、「県内の指導者が少なく、基本的な技術や効果的な練習法に関する正しい情報が得られる場や機会が充分ではないので、もっとプレイヤーも指導者も学べる環境をみんなで工夫して作っていきたい」と不安視していた。

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円

部費は5千円/月、保護者会費が年額5千円とのこと。遠征費については目的地が秋田県外のときに発生するそうで、都度実費を支払うが、前年度はマーチング東北大会+M協全国大会で2万5千円程度だった(前年度実績)。

マーチングの際の衣装(ブラス、パーカッション)は無料貸与で、新しい衣装の購入が必要になった時のために積立を行っている。毎年テーマに合わせて衣装アレンジを加えているが、それは部費から賄っている。

楽器は無償での貸与が可能だが、自前楽器の使用も認めている。経験者が多いので自前楽器を使用する生徒も少なくないそうだ。部費から楽器購入予算を組んでおり、部の楽器の在庫を確保しているとのことだった。

また、カラーガードの衣装も基本無償で、手具のポールとフラッグは学校からの貸与も可能。ライフルは、なんと自作とのこと。大会など本番の際はぜひ注目してみてほしい。

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・全日本吹奏楽連盟(吹連)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・他の部活動の応援演奏
・演奏会などの自主公演
・その他(地区吹奏楽連盟の演奏会、吹奏楽コンクール、県マーチング協会のイベント)

Q.コロナ禍で困ったことは何ですか?
A.
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・練習回数や大会の減少による影響で演奏演技の技術が低下した
・メンバーのモチベーション維持

加藤:「コロナ禍による影響について、休校などは関東や関西より少なかったのではないでしょうか。部活制限も首都圏に比べるとそこまでなかったかと思います。ただし、他の団体との接触は限定的でした。コロナ一年目は比較的活動できていましたが、外部の指導者を呼ぶことや、県外に出て活動することはできませんでした」

曲中吹奏楽部は、今年も稲穂のように実りあるシーズンになるべく、日々練習に励んでいる。2023年10月15日(日)には、由利本荘市で開催される第13回 秋田県民共済Presents 秋田マーチング&バトンshow in 由利本荘 2023に曲中吹奏楽部が出演予定。

また、11月23日(木・祝)午後〜大曲体育館にて『マーチング演奏会』を開催予定とのこと。この演奏会では、日頃活動を見守り支えてくださる地域の方へ向けて、感謝の気持ちを伝えるという趣旨で企画されている。近隣にお住まいの方は足を運んでみてはいかがだろうか。

大仙市立大曲中学校吹奏楽部

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