
2026年2月1日(日)に「第9回カラーガード・マーチングパーカッション全国大会(日本マーチングバンド協会主催、以下CG・MP全国大会)」が高崎アリーナで開催される。今大会にはマーチングパーカッションに3団体、カラーガード部門に43団体(ジュニアの部8団体、高等学校の部20団体、一般の部15団体)が出場予定となっている。
本記事では、カラーガード部門に出場する注目の5団体を紹介する。いずれも個性豊かで、上位入賞が見込める実力を誇る精鋭ぞろいである。本記事を通じてカラーガードチームの魅力に触れ、大会をより一層楽しんでいただければ幸いだ。大会前の予習としてはもちろん、団体紹介記事としてもぜひご覧いただきたい。

団体名称:Via Colorguard Jr.(ヴィアカラーガードジュニア)
所在地:神奈川県横浜市
創設年:2022(令和4)年
出場部門:ジュニアの部(1団体目)
最初に紹介するのは、神奈川県横浜市を拠点に活動するカラーガードチーム(地域団体)の「Via Colorguard Jr.(以下、Via Jr.)」だ。小学4年生(9歳)から参加可能だが、今年度は最年少13歳・最年長15歳(平均年齢14歳)の8名で活動している。練習は月2~3回と多くなく、カラーガード初心者や未経験者もいる中、創設年からCG・MP全国に挑戦して以降ジュニア部門で三連覇中という旋風を巻き起こしている。
代表の卯月伶奈(うづき・れな)さんによると、Via Jr.でカラーガードデビューする子は毎年数名はいるとのこと。今回も、今年度加入のメンバー3名のうちカラーガード未経験者が1名、既存の5名のうち2名も初心者として加入したという。横浜という土地柄からマーチング経験者も少なくないが、もともとやっていた楽器ではなくカラーガードに挑戦したくて参加するメンバーもいるとのことだった。
そんな中でVia Jr.が結果を出せている理由は、臨機応変なスタイルにあるようだ。例えば、メンバーの習熟度に合わせて振り付けをいくつも用意し、それが演目の中のバリエーションとしてうまく機能するように工夫している。また、振付は頭から順番につけず、エンディングなど全員共通の部分をメンバー確定前から固め、新メンバー体験期間にこれを教材として練習時間を最大化しているらしい。
今回のテーマタイトルは【アイデンティティ】。タイトルの通り、メンバー各々の個性を大切に作り上げてきたショーとのこと。自分らしい演技を自信を持って表現できるようになるため、メンバー各自の「自分のアイデンティティ」を見つけるワークシートに取り組んだり、お互いの良いところを伝え合うワークを実施したりしたという。ショーの中にはメンバー全員がそれぞれの特技を生かした演技でスポットライトが当たるシーンがあり、その全てが見せ場となっている。カラーガードの手具だけでなく、表現力だけで惹きつける演技や、フープやバトン、ボールなどの様々な手具も登場する。また、衣装や旗は一人ひとり色が異なり、そこでも個性を表現。メンバーカラーやヘアスタイルなど随所に至るまで8名それぞれのパーソナリティが反映されているので、ぜひ注目してみてほしい。
卯月:カラーガードとして美しく見せるため「揃える」ことは大切ですが、その中でテーマである「それぞれの個性や多様性」をどう表現するか悩みました。その結果、多様な手具や振付バリエーションを採用し、全員が「自分だけの振付」を持つ形に。覚える量やクリーニングが大変で、メンバーの自主性とOBの支えがなければ仕上げられなかったと思います。
人数の少ないチームですが、それを感じさせない演技を目指し、春から努力を重ねてきました。今年も大会のトップバッターを務めますので、皆さんの心に強く印象を残す演技を、最後の1秒まで【アイデンティティ】でお届けします。温かい声援をよろしくお願いします!

団体名称:かえつ有明中・高等学校マーチングバンドESTEAM(カエツアリアケチュウ・コウトウガッコウマーチングバンドエスティーム)
所在地:東京都江東区
創設年:1993(平成5)年
出場部門:高等学校の部(7団体目)
次に紹介するのは「かえつ有明中・高等学校マーチングバンドESTEAM(以下、ESTEAM)」だ。ESTEAMは東京都千代田区富士見に所在していた嘉悦女子中・高等学校時代に創部され、3年目の1995(平成7)年度開催の『第21回マーチングバンド全国大会』で全国大会初出場を果たした。2006(平成18)年に江東区有明へ移転し共学化・現校名に改称されたのち、2012(平成24)年開催の『第40回記念マーチングバンド・カラーガード全国大会』において高等学校中編成の部で編成別最優秀賞を受賞するなど、歴史と実績ある団体だ。
(ちなみに、一般の部に出場する「PRIDE OF ESTEAM」はESTEAM卒業生により結成されたカラーガードチームである)
CG・MP全国大会においては例年カラーガードパートの中・高校生の女子のみで出場しており、今回は11名で大会に挑むという。バンド全体の部活練習は平日3日(放課後)と土日で、カラーガードパートだけの時間は限られているが、ディレクターの打出由紀子(うちいで・ゆきこ)先生によると、練習では至らないところを自己分析して自主練習することや、ボディーワーク強化のため、毎回の練習にダンスベーシックを組み込んで意識したことでパフォーマンス向上に務めてきたそうだ。
今回のショーは、大林宣彦監督の映画『水の旅人 侍KIDS』のサウンドトラックから抜粋した久石譲作曲の楽曲で、「水」のイメージや表情を音楽とビジュアルに融合して表現する。エンディングで登場する「布」を出す際は、まっすぐ流れる川をイメージするために、たるまないよう細心の注意と工夫を凝らしたそうだ。また、楽曲の多彩な表情に応え、水辺を旅する妖精のような軽やかさをビジュアルで演出した点が見どころだ。ESTEAMは女性のみの編成ということもあり、年頃の可憐な少女たちというイメージが強いが、「水」の持つ多様な性質をどう表現するか楽しみだ。
パートリーダーの西原多未(にしはら・たみ)さんは、大会にかける想いを次のように語った。
西原:関東大会を乗り越え、全国大会に出場できることを誇りに思います。私たちは全国大会に向けて、水のように形を変えながらも前へ進み続けることを大切にしてきました。忙しい日々の中でも支え合い、一本の川のように心を一つにして練習を重ねてきました。全国大会では、これまで積み重ねてきた努力を演技に込め、最後まで全力で臨みます。

団体名称:福岡女学院中学校高等学校バトン・カラーガード部(フクオカジョガクインチュウガッコウコウトウガッコウバトン・カラーガードブ)
所在地:福岡県福岡市南区
創設年:現体制での活動は2011(平成23)年
出場部門:高等学校の部(20団体目)
高等学校の部のトリで出場予定の「福岡女学院中学校高等学校バトン・カラーガード部(以下、福女)」は、元々はバトン部として活動していたが、2011(平成23)年からカラーガードを導入した。CG・MP全国大会においては2大会連続で高等学校の部2位という実力ある団体で、今年こそ日本一の悲願達成を誓っている。
今年度の部員は、中学1年生から高校2年生までの33名。まれにバトン経験者がいることもあるが、カラーガードについては全員初心者として入部する。基本的に高2の3月で部活引退となるため、活動できるのは最長で5年間。人数が多いため、ボディワークや多様な手具の振りを合わせるのは容易ではない上に、中1から高2までの幅広い年齢層が同じレベルでパフォーマンスできるようにする点に苦労したという。週5日の練習を積み重ね、指導スタッフの助言のもと、先輩・後輩関係なくお互いに教え合い、高め合うことでショーを完成させてきたという。
今回は、Mrs.GREEN APPLEの大ヒットナンバーと同タイトルの【僕のこと】というショーを披露する。大人数での迫力のある演技を目指し、伝統であるオールフラッグに加え、今年はオールライフルにチャレンジしている。曲中で歌われる「悩みや葛藤を経て、誰かと過ごすことができる日々」や、「今の自分がいることへの喜び」を、多彩なトスやボディワークによって表現したそうだ。また、壮大なロックバラードにのせてソロをつなぎ、一つのストーリーを展開している点に注目したい。
高校2年生で部長を務める髙木姫依(たかぎ・ひより)さんは、今大会への想いを次のように話してくれた。
髙木:今大会は、私たち高校2年生にとって最後の大会となります。中学1年生から培ってきた5年間の集大成となるので、気持ちを込めて演技したいと思います。2年連続全国大会2位という結果で悔しい思いをしてきたので、今年こそ必ず日本一をつかみ取るという気持ちで33人が団結し練習に励みました。私たちの演技が誰かを感動させたり、心の救いになったりするといいなと願っています。これまで支えてくださった保護者や先生、スタッフ、仲間に感謝して演技します!

団体名称:Revolt colorguard(リボルト カラーガード)
所在地:東京都
創設年:2020(令和2)年
出場部門:一般の部(12団体目)
次に紹介するのは、近年評価を高めているカラーガードチーム「Revolt colorguard(以下、Revolt)」だ。2020(令和2)年に「CGT」として結成され、2023(令和5)年1月に開催された『第6回カラーガード・マーチングパーカッション全国大会』に出場。翌2024(令和6)年開催の第7回大会では念願の金賞を受賞し、同年7月から現名称の「Revolt colorguard」として活動している。
メンバー加入は大学生(18歳)以上~となっており、現在19歳から33歳(平均年齢 24歳)までのメンバーが所属している。男女比6:4とやや男性が多い点は特徴の一つだ。ほとんどがマーチングバンド経験者で、主な出身団体は、埼玉栄中学・高等学校マーチングバンドや星野学園中学・星野高校吹奏楽部マーチングバンド、IPU・環太平洋大学マーチングバンド部など。一方でカラーガード未経験者として加入したメンバーもいるとのこと。
「日本一を目指す」と明言して挑む今大会で披露するのは、「機械と人間」をテーマに作られた【Not Machines】というショーだ。代表の丸岡聖(まるおか・ひじり)さんが「6年前から挑戦したかった」という楽曲を使用している。複雑な音楽ゆえ、日本一を狙えるタイミングで使おうと決めていたそうだ。団体設立当初は初心者が大多数だったが、ここ数年で仲間が揃い団体が強くなったこの勢いを活かし、この曲を軸にプログラムを構築したという。また、昨年度の反省を踏まえ、フラッグやライフルの振り付けレベルを格段に上げた。ドリルのスピード感はそのままに据え置いたためメンバーも苦労したが、回数を重ねるごとに上達しているという。毎週のランスルー後には個人の進捗や改善点を共有し、課題を見える化することで次の練習に反映させているそうだ。
丸岡:今回のショーでは機械から人間への変化を表現し、機械的な動きと人間らしい表現の違いを際立たせることに苦労しました。カラーガードショーでは珍しい多彩なフォーメーションとスピード感が特徴で、全員で挑むオールライフルも見どころです。活動目的である「挑むことによる人間的成長」を体現するため、成功も失敗も成長の過程だとを感じてもらえる演技を心がけ、笑顔で悔いなく終えたいと思います。目標は日本一です。最優秀賞を目指して、カラーガードの挑戦者として全国大会の舞台で全力演技しますので、ご声援よろしくお願いします!

団体名称:創価エアレンデル(ソウカエアレンデル)
所在地:東京都新宿区
創設年:2023(令和5)年
出場部門:一般の部(13団体目)
最後に紹介するのは、前回(第8回CG・MP全国大会)一般の部で最優秀賞を獲得した「創価エアレンデル(以下、エアレンデル)」だ。エアレンデルは2023(令和5)年1月から新出発したチームで、小学生から社会人までの女性のみで構成されている。現在は、プレーヤー・スタッフ含めて12歳から35歳までのメンバーが活動しており、平均年齢は25歳ほど。年齢差はあれど、姉妹のように仲良く切磋琢磨しながら練習に励んでいるという。加入するメンバーの8割がカラーガード未経験者で、練習は週4回ほど。
テーマタイトルは【Open the Door まだ見ぬ可能性へ】。目の前に現れる無数の扉の先には、まだ誰も見たことのない新しい世界が広がっている。時に迷い、立ち止まり、前進することを恐れることもあるが、勇気を出して一歩を踏み出したとき、景色や環境が変わり、そして何より自分自身が変わっていく――「扉」をモチーフに、一人一人が“まだ見ぬ可能性”に向かって勇気の一歩を踏み出し前進し続けていく姿を表現したプログラムだ。エアレンデルの坂本明美(さかもと・あけみ)さんは、「曲調に合わせた表情の変化に力を入れており、葛藤しながらも前へと進む姿を楽しんでほしい」と話す。
また、今年は表現の幅を広げるため、「体の緩め」「筋力トレーニング」「手具の基礎力強化」の三つに注力したという。体を緩めることで可動域を広げ、昨年以上に表現の幅を広げることができたと感じているそうだ。また、制作面ではテーマに合わせて「扉」のプロップを用意。これまで使用したことのない構造のプロップであるため、運び方をはじめ、演出面とのすり合わせに時間を費やしたとのこと。
坂本:今回のテーマを表現するためには、演技者自身が挑戦し前進する必要があると考え、練習だけでなく私生活の見直しを呼びかけました。各自が勉強や仕事に真剣に向き合い、悩みながら両立することで表現に深みが生まれると確信しています。また、仲間同士の悩みに寄り添い、支え合う関係性を築いてきました。今回のショーでは、一人ひとりに備わっている「まだ見ぬ可能性」を信じ、練習に励んできました。これまで積み重ねてきた成果をすべて出し切り、観客の皆様に勇気と希望をお届けします。ショーを通して、皆様が人生で出会う無数の扉を開く勇気を得るきっかけとなれば嬉しいです。演技中に笑顔がこぼれ、明日からの活力となるよう、心を込めて演じます。
今大会には、記事で紹介した団体のほかにも、前回大会で密着取材した神村学園中等部高等部吹奏楽部や、弊サイトにて紹介したVia Colorguardや15ichie、カラーガードパートが単独で出場するYokohama INSPIRES Drum&Bugle Corpsなど多くの注目団体が出場を予定している。観覧予定の方は開催までにチェックしてみてほしい。前売り券の販売は2025年中に終了しているが、当日券の販売もあるため、興味のある人はぜひ高崎まで足を運んでみてはいかがだろうか。
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