Blue Devilsに20個目のチャンピオンリングをもたらした Ludwig『ULTIMATE SERIES』の魅力に迫る

2022年のDCI(Drum Corps International)World Championshipにて、Blue Devilsは史上最多となる通算20回目のチャンピオンに輝いた。映像を見た人は既にお気づきかもしれないが、Blue Devilsは2022年シーズンにバッテリーラインをLudwig、フロントピットをMusser製に一新している。中でも際立って目を引いたのはバッテリーパーカッションの『ULTIMATE SERIES』だ。既存の楽器を入れ替えてまで採用した理由とは? Ludwigの楽器の魅力や独自のシステムについて解説する。

Ludwigについて

Ludwigは1909年にアメリカ・シカゴに設立された打楽器メーカーで、現在に至るまで110年以上もマーチングの発展と共に歩んできた。創業後間もない1912年に木胴のドラムを開発しており、1920年代にはマーチングスネアドラム、ベースドラム、テナードラム(複数のセットではなく、響線の無いスネアドラム)に加え、G管ビューグル(ピストン無し)の製造を行っていた時期もあり、Drum&Bugle Corpsの編成楽器を網羅するようになった。

Ludwigがマーチングパーカッションに革命をもたらしたのは第二次世界大戦以降。管・打楽器が次々と進化を遂げていた1960年に発表した『Super Classic  Parade Series』は、スティール・フープ仕様にプラスティックヘッドを搭載し、従来よりも明るく切れの良いサウンドを生み出すことに成功した。
1970年には『Super Sensitive Parade Drum』発売とともに、初のマルチタムである『TIMP-TOM TRIO』を発表。当時はDrum Corpsの編成が拡大していた背景もあり、大音量にも対応できるアクリルシェルのヴィスタライトや、ステンレス・スティールモデルなどを次々と発表し注目を集めた。また、1975年に発表した『Challenger Series』は、響き線(スナッピー)の個別調整を可能にすることによりガットの弱点を補えるという特徴があり、他社とは一線を画すシステムを搭載。大音量やハイピッチに対応するハイテンションラグやダイキャストフープの開発など、Ludwigのマーチングパーカッションはさらなる進化を続けた。マーチングテナードラムの開発にも注力し、より音楽性を追求した『Power Cut Series』にてクォード、クイントをラインナップに追加。ハーネス式のキャリアも製造され、現代のスタイルへつながるラインナップの礎を築いた。1976年にはBlue DevilsがLudwigのマーチングパーカッションを採用し、DCI World Championの初獲得を後押ししている。

意欲的な開発は20世紀後半も止まらず、1990年にはシェル素材にバーチ材を採用した『Vector SD』を発表。トップエッジにメタルリングを埋め込むなど、音抜けの向上などが大幅に改善されたモデルとなった。2000年にはシェルを独立させた超軽量の『Free Floater』モデルを発売。シェルを取り外しても演奏が出来るユニークな設計は注目を浴びた。

その後、工場の移転などもあり製品開発は一時停滞していたが、過去のモデルを更に進化させたモデルとして、2017年に『ULTIMATE SERIES』を発表。これまでに培ったノウハウに加え現代の流行を大胆に取り入れており、軽量化とバランスの良いサウンドをもたらすシリーズだ。2022年には盟友であるBlueDevilsが再びLudwigへ復帰し、史上最多となる20回目のDCI World Championを獲得したことは記憶に新しい。

楽器ごとに見るULTIMATE SERIESの特徴

2017年にラインナップを一新し、アメリカを中心に人気を集めているLudwigのマーチングパーカッション。2022年にはBlue Devilsがバッテリーラインに採用したことで日本国内でも話題になった。ここでは楽器それぞれにどのような特徴があるのかを解説する。


スネアドラム:
1990年代に開発した『Vector Series』のフローティングシステムを進化させ、 打面のエッジにアルミ製のエッジリングを搭載。ボトムエッジにはレインフォース面とリングに45度のインナーカットを施した新しいエッジ加工を採用。クリアなサウンドとシェルの響きをバランスよくミックスすることで遠達性の高いパワフルなサウンドを実現した。


テナードラム:
キャリアのトップメーカーRandall May社と共同開発をした『FFLB(FREE-FLOATING LUG BRIDGE)システム』により、余計な金属パーツを排除し、各タムのラグを活用し装着してセットを形成。高性能ポリマーによる連結で安定性とともに大幅な軽量化を実現。現代のマーチングテナー奏法に応えるコンパクトなポジションが可能になる配置を研究し、響きを止めず、明るくヌケの良いクリアなサウンドを作り出した。


バスドラム:
新設計のアルミ製金属パーツにより耐久性を確保しつつ軽量化を実現。フープのフィッティング精度を高めるため開発した大型のアルミフック等、緩みが少なく安定したサウンドを得られるように進化した。

ULTIMATE SERIESのラインナップには『RFST (Radio Frequency Shell Technology)』が採用されている。シェルに高周波振動を加える独自の成型工程と接着技術を用いており、演奏による振動を効率よくシェルに伝えて高いパフォーマンスを実現するシステムである。単に遠達性を求めた硬質な大音量ではなく、繊細なタッチも引き出せるワイドなチューニングレンジを持ち、クリアな粒立ちでも響きを損なわない操作性の高いモデルとなっている。

ユーザーの声

Scott Johnson氏(スコット・ジョンソン、Blue Devilsパーカッションディレクター)より

Ludwig Musser Teamには、Blue Devilsの記録的な20回目のDCI World Champion獲得の ためにサポートして頂き大変感謝しています。今年のBlue Devilsは『Ludwig Ultimate Series』のスネア、テナー、バスドラムのほか、フロ ントアンサンブルでは Musserの鍵盤楽器をフルラインで使用しました。それらの楽器から生み出される新しいサウンドは、我々をチャンピオンに押し上げてくれました。  

Blue Devilsは1976年に『Ludwig Challenger Series』を採用し、初優勝を獲得しました。あれから月日が流れ、今再びLudwig Teamに戻ってチャンピオンを獲得することが出来ました。今後、何年も一緒に過ごせることを楽しみにしています」

試奏やお問い合わせについて

演奏した感覚や重さなどは実物を手にしてみることが一番わかるはずなので、興味を持った方はぜひ一度取扱店もしくはノナカパーカッションギャラリー問い合わせてみてほしい。一流指導者やアレンジャー、トップコーが熱烈に支持している理由を実感できるはずだ。

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