【マーチングバンド解体新書】小1のソリストも活躍!マーチング王国沖縄の復興を担う「うるま市立高江洲小学校マーチングバンド部」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は、第53回マーチングバンド全国大会(日本マーチングバンド協会主催)において、小学生の部・小編成で金賞を受賞した『うるま市立高江洲小学校マーチングバンド部』を紹介する。創設から10数年程度と比較的新しいバンドであるが、縮小傾向の沖縄県マーチング界にとって復興の起爆剤となる勢いを見せている。バンドの歩みや日頃の活動について、父母会長を務める高良勇貴(たから・ゆうき)さんからお話を伺った。

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うるま市立高江洲小学校マーチングバンド部について

団体正式名称:うるま市立高江洲小学校マーチングバンド部(ウルマシリツタカエスショウガッコウマーチングバンドブ)
団体所在地:沖縄県うるま市
創設年:2009(平成21)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション(フロントピットのみ)、カラーガード
※編成詳細は以下の通り
金管:Tp,Cor,Mello,Tb,Euph,Tuba
活動理念:学校生活が第一、部活は第二とし、文武両道を重んじる。創部当初から生活面を大事に活動しています。あいさつ、返事、整理整頓など、いつでもどこでもできるようにしています。楽器や練習場所を提供していただいている先生方、地域の方々、保護者への感謝の気持ちを忘れずに活動することも大切にしています。

高江洲小学校(以下、高小)は、沖縄本島中部のうるま市に位置し、2024(令和6)年に開校110周年を迎えた歴史ある学校だ。マーチングバンド部は2009(平成21)年、知念奈巳(ちねん・なみ、現・奈良学園大学マーチングバンド部監督)氏が音楽担当教諭として着任した際に創部された。当時、長年音楽専任教諭が不在だった高小では、近隣小学校の金管バンドに憧れる児童が多く、金管バンド希望者を募ったら中・高学年だけで80名以上が集まったという。当然学校所有の管楽器が足りず、どうすべきか思案したところ、「打楽器パートやカラーガードパートを取り入れて、マーチングバンドとして活動してみよう」となったのだ。

創設当時は学校部活動としてスタートしたが、程なくして父母会運営となり、現在も同じ体制で活動している。小学生らしい生き生きとした表現と、小学生離れしたパフォーマンス、独創的なテーマで人気を博し、大会会場でも大きな声援が送られるバンドだ。

他の団体にはない「高小ならでは」なエピソード

近年、小学生団体のメンバーに低学年と思われる体格の児童が年々増えているように感じるが、実際に高小は小学1年生から参加するメンバーがいる団体だ。1年生と6年生では体力や集中力、判断力など発育の差は大きいが、高小のショーを見るに体格差以外気になる点はほとんどない。それどころか、小編成のため低学年を後ろに下げて高学年のみがドリルを構成することもなく、むしろ先日のマーチングバンド全国大会では、ショーの冒頭を飾ったカラーガードのソリストは1年生の女の子だった。高小ではなぜ低学年メンバーがこのように活躍できているのか、高良さんにお話を伺った。

高良:1年生が参加するようになったのは2023年度からで、コロナ禍を経てメンバーが減ったことや、参加を希望する児童がいたことがきっかけでした。最初こそ低学年はパーカッション(フロントピット)やカラーガードに配置しましたが、意欲や体格などを考慮してブラスも担当するようになりました。入部から夏まで体力と基礎を養う期間があるのは大きいかもしれません。夏場から少しずつ地域イベント等に参加することで人前でのパフォーマンスに慣れさせ、大会に臨むといった感じです。もちろん、高学年ベテランメンバーによる低学年のサポートや、指導スタッフの力もあります。

高小では、4月に部員募集を開始し、5月中旬に新入部員のパートが決まって以降は、夏休みまでは体力づくりと基礎中心の練習が行われる。大会用ショーに本格的に取り組むのは9月からで、例年11月に行われる支部大会の「マーチング&バトンin沖縄」まで短期間で仕上げている。やはり基礎固めは大切だと思わされるエピソードだった。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週3日以上(平日放課後など)※指導要領に則り実施

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

高良:活動拠点は高江洲小学校の敷地内です。学校敷地内にあった幼稚園が閉園した際、旧園舎を小学校が音楽室として活用することとなり、現在はマーチングバンド部もその音楽室や体育館を利用させていただいています。小学生にとって沖縄の気候の中で通年屋外練習を行うことは身体的な負担も大きく、こうした環境が整っていることは大変ありがたいと感じています。

2.メンバーについて

Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.27名(2025年度)

高良:学校部活動ではなく父母会運営のバンドですが、所属メンバーは全員高小の児童です。


3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.11~15万円

部費は3千円/月で、衣装と楽器、カラーガードの手具は部から無償で貸与される。個人で購入が必要なものは衣装のインナー(肌着)や靴下、手袋、靴等と最低限で済む。大会遠征費用は活動状況に応じて徴収があるが、各家庭の負担が大きくならないよう、運営資金の調達に尽力している。

高良:必要に応じてクラウドファンディング等も実施しますが、イベントでの演奏出演の際にグッズ販売を積極的に行い、売り上げを運営資金に充てています。楽器が不足した場合にはマーチング活動を辞めてしまった県内の学校団体からお借りしてやりくりしています。

日頃の活動や今後について聞いてみました

奈良学園大学マーチングバンド部との合同練習の様子

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・マーチングバンド全国大会(M協主催)への出場
・マーチングステージ全国大会(M協主催)への出場
・活動拠点の地域で行われるご当地イベント(お祭りなど)への参加
・自主事業(コンサートやイベントなど自ら企画し実施するもの)の開催

Q.いま一番困っていることは何ですか
A.資金面

高良:物価高騰や少子化などもあり大変ですが、子どもたちのためという気持ちが原動力で団体運営を頑張れています。人数制スポーツと違ってみんながレギュラーとして出られるというマーチングの良さは、子どもたちだけでなく保護者たちも感じていると思います。また、沖縄県のマーチングの火を絶やしてはいけないという使命感は少なからずあります。沖縄県内でマーチング活動をしている団体は年々減少しており、小学校に関しては片手で収まるほどになってしまいました。

活動団体が減ればマーチングそのものの知名度は低下し、少子化やクラブ活動の多様化もあり更にプレーヤーが減る負のスパイラルを起こしかねない。そんな中での高小の躍進は、かつての「マーチング王国・沖縄」の復興の鍵となる可能性を秘めている。高小マーチング出身の児童が具志川中学校や西原高校などの強豪校に進学してプレーヤー人口維持・増強を下支えしたり、全国大会で金賞受賞などといった結果を残すことによって地元メディアに取り上げられ、人目に触れる機会が増えることで結果としてマーチングの普及に寄与している。また、自らのSNSアカウントやYouTubeでの発信に注力したり、自主公演を開催することにも余念がない。

なお、今後の出演予定だが、
2月7日(土)の「うるま市生涯学習フェスティバル」のオープニング演奏(会場:生涯学習・文化振興センターゆらてく)
2月22日(日)の「龍神伝説ジュニア 新春公演2026 /🌸百花龍乱 🌸」のプレイベント特別出演(会場:高江洲小学校体育館)
があり、3月22日(日)には「高江洲小学校マーチングバンド部定期演奏会『Thank Youコンサート』」が高江洲小学校体育館で開催される。

高良:年度末(3月)に開催している定期演奏会(Thank Youコンサート)では、多くの卒業生がサポートに来てくれます。部員は毎年入れ替わりますが、創部当初から長年に渡り指導を続けてくださるスタッフがいることは、バンドの強みだと思います。また、本番用の衣装やプロップ類の作成、楽器類の簡単な補修などを父母会で行っているのも特徴の一つだと思います。ショーを見る際には、父母会お手製の衣装やプロップ類にも注目していただけるとうれしいです!

全国大会金賞の実力を間近で感じられる機会なので、沖縄のマーチングファンだけでなく活動に興味を持った人も足を運んでみてほしい。沖縄マーチング文化を次代につなぐ高小の活動を、​ぜひ間近で応援していただきたい。

「うるま市立高江洲小学校マーチングバンド部」

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