創部70周年記念 関東学院マーチングバンド 第65回定期演奏会レポ


Stage2
9.関東学院小学校ブラスバンド
風になりたい
ゲスト出演の関東学院小学校ブラスバンドは『風になりたい』を座奏で披露。小学生ながら豊かなサウンドで、ホールをあたたかい雰囲気で包み込んだ。


合同演奏
10.70周年記念 official髭男dism スペシャルメドレー(小学生+KGMB)
小学生たちと関東学院マーチングバンド現役メンバーによる合同演奏。小学生たちは一生懸命な様子の中にも楽しそうな表情を浮かべており、現役メンバーはリハ中から優しくも頼もしいお兄さん・お姉さんの姿を見せていた。保護者からすれば我が子の成長を一番感じられるプログラムだったかもしれない。


11.A Mis Abuelos(OB・OG+KGMB)
Solist:神奈川県警察音楽隊 トランペット奏者 三宅浩嗣
マーチングの人気レパートリーとして知られる情熱的なこの曲、要はやはりソリストだろう。現役メンバーに加えOB・OGも参加してのプログラムだったが、マーチングブラスに負けない情熱的な三宅氏のソロで会場は大いに盛り上がった。


12.高3卒業セレモニー
「後輩たちが考えたキャッチフレーズ」を司会者が読み上げ、高3生20名が一人ずつステージ上に登壇した。スクリーンにはサプライズで用意された「先輩の小さかった頃」の映像が。後輩たちが叫ぶ高3生の名前のコールと拍手、照れながら笑顔で手を振る高3生の姿には関係者でなくても目頭が熱くなった。

これまでメンバーたちは「こうして定期演奏会で先輩たちを送り出し、そしていつか自身も送られる側になるのだろう」と信じて疑わなかっただろう。しかし、それが突然叶わなくなってしまった年もあった。2020年3月、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため、関東学院マーチングバンドは例年開催していた定期演奏会を中止せざるを得なかったのだ。


66期卒業生高3在籍時全国大会出場演目
13.Alive ―Life goes on―

突然すべてを奪われて時が止まったままの当時の高3生の「やっぱり、定演のステージに立って卒業したかった……」という想いに応えようと、上杉先生は今回の定期演奏会で『Alive』をリバイバル演奏することを決意。当時ドラムメジャーを務めたメンバーが指揮台に上がり、もう一つの「卒業の物語」が始まる。


スクリーンには2019年12月開催の『第47回マーチングバンド全国大会(日本マーチングバンド協会主催)高等学校の部 大編成』の様子が映され、映像と生のパフォーマンスがシンクロしてプログラムが演じられた。


当時のメンバー全員が集まることは叶わずとも、こうやって映像があるだけでも「みんなで定期演奏会のステージに立てた」と思えるだろうし、こうした事実を一つ作れたことは大きい。参加した卒業生の中にはコロナ禍もあってしばらくマーチングを離れていたメンバーも多かったそうだが、気持ちの込もった素晴らしいパフォーマンスだった。


最後のプログラムを前に、在校生代表として花束が贈呈された。サブドラムメジャーを務めた高3生はもともと野球部員で、「助っ人」として途中入部しているメンバー。そんな縁もあってか、花束贈呈は野球部からだった。学校部活動らしい、実に素敵なエピソードである。


全国大会出場演目
14.Bless
大トリは2022年12月に開催された『第50回マーチングバンド全国大会(日本マーチングバンド協会主催)高等学校の部 大編成』出場演目。


ここまで多くの曲をこなして、最後に大会用ショープログラムを2つも演奏するというタフな構成だったが、さすが1シーズンで一番練習してきた曲なだけあり、メンバーたちは最後まで豊かな表現力でパフォーマンスしていた。


最後の一音が鳴り響き、拍手喝采が沸き起こった。メンバーたちの誇らしげな様子に胸が熱くなる。


現役メンバーもさることながら、保護者会やOB・OGたちの尽力にも感心させられる機会の多い演奏会だった。関東学院マーチングバンドの紡いできた長い歴史、携わってきた多くのメンバーの想いを感じられた。また新しいシーズンが始まり、新たな歴史の1ページが続いていく。これからの関東学院マーチングバンドの進化・発展も楽しみである。

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