①Opening『Found It』
映画『アナと雪の女王』の劇伴をアレンジした楽曲。コーラス隊の歌とフロントピットのアンサンブルで厳かに始まり、ロビンズらしい力強くも華やかなサウンドを響かせる。
ラストはメンバーが伸ばした手の先に荘厳な門が現れ、圧巻のエンディングを迎える。一曲目からボリューム満点のプログラムだ。随所にシンセサイザーのサウンドも加わり、楽曲の持つ世界観を効果的に演出していた。
②Basedrum Ensemble『YR SPELL』
パーカッション全体から選ばれた精鋭5名によるベースドラムアンサンブル。ベースドラムの粋を集めたチャレンジングなプログラムで、軽快で心地よいランニングから全員でのユニゾンまで、見せ所をバランス良く散りばめていた。途中、観客から手拍子が起こる場面も。
③Brass Special Stage『Hamilton』
アメリカ合衆国建国に寄与したアレクサンダー・ハミルトンの生涯をヒップホップ音楽で綴ったミュージカル『ハミルトン』をテーマとし、ブラスセクション内から選抜された34名によるプログラムだ。
曲中には音響設備がフル活用されており、生音の演奏に電子サウンドがぶつかり合うなどして、力強くワイルドな雰囲気を演出していた。難度の高い譜面の演奏だけでなく、たくさんのダンスやステップなどが盛り込まれ、面白い構成で見応えは十分だった。
④Colorguard Ensemble『夢~Beyond the Longing~』
退屈な日常を送る主人公の世界を変えた「一つの演技」、それに憧れを抱くものの簡単には届かず挫折してしまう。届きたい、届かない――そんな葛藤の中にいる彼女を過去の自分と仲間が支え、やがて成長していく姿を描いたプログラム。
手具のエクスチェンジなどの振り付けから「仲間を信じることの意味」を、言葉は無くとも感じさせられる場面も。ラストのオールフラッグは優美で美しかった。
⑤Percussion Ensemble『The ZODIAC』
ロビンズ史上最大規模の40名で奏でる、ミステリアスな雰囲気漂うプログラム。こちらは『第5回マーチングパーカッション全国大会』のために取り組んできたものだそうだが、残念ながら出場は叶わず、コンサートで晴れてお披露目となった。
オープニングから楽曲の持つ雰囲気に引き込まれ、次々と訪れる各パートの見せ場に魅入っているうちに、あっという間に一曲が終わってしまったような印象だった。本来大会用のプログラムだったというだけあって、曲の練度も高く感じられた。
⑥All Section『GLORY BE』
ゲスト「Passo a Passo」による演奏の後、休憩時間を挟んで後半が始まった。JSバッハによるバロック音楽を用いたプログラムを全セクションで披露。もちろん、フルサイズのドリルもしっかりついている。
教会音楽は荘厳で豊かなロビンズのサウンドにぴったりだ。また、信仰心を色濃く反映した今回のコンサートのテーマである「Believing」”信じること”にも深く通じている。マーチングに対する想いを訴えかけられているような気持ちにさせられた。
⑦Brass『世界の約束』
最後のプログラムを前に、ブラスセクション総勢94名による演奏が行われた。ジブリ映画のテーマ曲などを繋げた珠玉の楽曲メドレーだ。美しいメロディーがフロアいっぱいに響き渡り、静かに情緒を揺さぶられる。
⑧2021 Show『Reborn the World~創世の息吹~』
ラストは2021年度のショープログラム『Reborn the World~創世の息吹~』だ。例年とは一味違うテイストの選曲で構成されていながらもロビンズらしさは健在で、特にファーストプッシュの圧倒的サウンドに心掴まれたマーチングファンも数多くいることだろう。
中盤から終盤にかけての叙情的な描写も素晴らしく、楽曲の持つ世界観をマーチングにしっかり落とし込んだ上で表現されていた。
また、赤く荒廃した世界から青く美しい地球が現れるシーンは秀逸で、マーチングを知らない人が見ても良い意味で分かりやすくインパクトがあり、感動を覚える。
エンディングは「まだそんなパワーが残っていたのか!」と驚くほどのパワーで押しまくり、壮大なラストを遂げる。間違いなく観る人の心に残るショーだと言えるだろう。客席からは大きな拍手が送られ、メンバーは退場するかと思いきや……
Encore『My Way』
アンコール曲として『My Way』が演奏された。今回のコンサートは、「コロナ禍でもマーチングをしたい、観客の前でパフォーマンスを行いたい」という強い想いから実現されたものだ。コロナ禍でも自分たちの信じる道を進み続けた2021年度のロビンズと重なるものがあり、最後の最後まで素晴らしい構成のコンサートだった。
今回のコンサートは、来場者・視聴者共にボリューム満点のプログラムで満足感を覚えたことだろう。リハーサルから見ている者からすると、メンバーの底なしのスタミナに驚きを感じた。マーチングにおけるスタミナはランニングや筋トレなどだけでは養えない。反復練習による賜物だ。
コロナ禍で練習機会が限られた中、高いクオリティとそれを支えるスタミナで最後までパフォーマンスをやりきったロビンズメンバーには、労いの言葉を送りたい。