【マーチングバンド解体新書】個性溢れるショーが魅力 関西ドラムコー界の重鎮「JOKERS Drum&Bugle Corps」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は関西地区で活動する一般団体『JOKERS Drum&Bugle Corps』を紹介したい。力強いサウンドと個性溢れるショーで、多くのマーチングファンから愛されている。JOKERSの歴史や活動状況について、隊長の飯田素之(いいだ・もとゆき)さんにお話を伺った。

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JOKERS Drum&Bugle Corpsについて

団体正式名称:JOKERS Drum&Bugle Corps (ジョーカーズ ドラムアンドビューグルコー)
団体所在地:京都府京都市
創設年:1989年
団体の編成:ブラス(G管ビューグル)、バッテリー、フロントピット、カラーガード
活動理念:年間を通じて演奏・演技をより多くの観客に披露して楽しんでもらい、自らも楽しむ事

JOKERSは1989年に近畿一円の愛好家が集まって結成された一般団体で、『1989 JOKERS Sr.Drum&Bugle Corps』という結成年の入った呼称だった時期も。
本連載で紹介したYokohama INSPIRESImperial Soundと同じくG管ビューグル楽器を使用している。結成当時からオリジナル楽曲でショーを構成しており、現在もそのスタイルを貫いている。

他の団体にはない「JOKERSならでは」なエピソード

一般団体となると、仕事や家庭の事情などでやむを得ず本番を欠席するメンバーも出てくる。全ての本番にメンバー全員が参加するのは、当たり前のようで実は大変なことだ。しかし、JOKERSは「全てのSHOWにメンバー全員が欠けることなく参加する」ことを、掲げるだけでなく実現させている。

飯田:「JOKERSはシーズン始めに年間スケジュールと本番予定を提示して、参加できることを確認した上で『ショーメンバー登録』を行います。また、新規入隊の場合は二回以上の練習見学を条件としています。実際に練習に参加して雰囲気をわかった上で入隊するので、ミスマッチが起きづらく、途中退団はほとんどありません」

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週1回(日曜日)+祝祭日

飯田:「練習は基本的に毎週日曜日と祝日に行っています。また、シーズンオフには一ヶ月程度のお休み期間があります」

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

2.メンバーについて
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.51~60名

Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.25~28歳

Q.メンバーで一番多いのは…
A.大学・専門学校生

Q.所属メンバーの居住地は…
A.団体所在地「外」の都道府県から通っている人が多い

Q.新規加入者は例年何名くらいいますか?
A.~10名

Q.退団者(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.~10名

2021年度は19歳から59歳までの51名が在籍し、最も多かったのは大学生とのこと。平均年齢は比較的高めで、ほとんどのメンバーが三年以上継続するそうだ。メンバーの居住地は大阪府、兵庫県、奈良県、滋賀県、京都府、愛知県など。

3.実際に加入するためには
Q.年齢制限はありますか?
A.高校生(15歳)以上

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

飯田:「未経験者も歓迎しています。過去には木管楽器の経験者で金管楽器は初めて、というメンバーもいました」

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.15万円程度

JOKERSの活動費は年額6万円(5千円✕12ヶ月)の他、遠征費など活動内容に応じて徴収がある。新規入隊時にのみ衣装購入費(コージャケット、衣装上下、ハット)が発生する。ブラスの楽器は個人所有も多いが貸与(有償、1千円/月)も可能。

年間の活動スケジュールや集金予定などはJOKERSのSNSでも公表されているので、ぜひ参考にしていただきたい。

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2021年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

飯田:「2020年度については、M協は支部、地区、全国大会の全てがビデオ審査となったため映像提出は行いませんでした。マーチング・イン・オカヤマ(以後、インオカ)はリモート参加、HCD(※)は一般観客なしの関係者のみでの開催となりました。2021年度はM協の大会に出場、インオカは現地参加予定でしたがコロナ禍の影響により直前で断念しリモート参加、HCDは一般観客も入れての開催ができました」

※Home Coming Day、JOKERS主催の自主公演イベントの略称

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.

・練習場所が確保できない
・スケジュールが立てられない(練習予定、大会参加など)
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)

飯田:「大会を含む多くのイベントが中止になり、本番の機会は大きく減ってしまいました。関西では緊急事態宣言が長期に渡って発令され、みんなで集まって練習することも難しい時間が長かったのですが、チームでマニュアルを作って対策をしながら活動を続けてきました」

JOKERSでは、緊急事態宣言が発令された場合、その地域に在住しているメンバーは練習参加不可というルールを設けている。そのため、リモート練習を実施したが、話を聞くとかなり濃密な内容を行っていたようだ。

飯田:「みんなで集まって練習ができなくても『毎週日曜はJOKERSの日』としてリモート練習を実施しました。日曜朝の決まった時間にオンライン上で集合して、出欠確認からストレッチ、なわとびなどもやります。そこからオンラインのままパートやセクション別の練習を実施し、夕方にまたオンライン上で全員が集まって終わりの回までやっていました」

コロナ禍で活動状況が変化したり本番機会が減ったりで、メンバーのモチベーション低下に悩む団体が多い中、JOKERSではその心配がなかったそうだ。

飯田さんは、「厳しい状況の時こそ、チーム力が試される時。前を向いて進んでいくことが大切だと感じています」と話す。コロナ禍で人々の繋がりが物理的に断絶されても、JOKERSの中ではしっかりとした絆でメンバー同士が繋がっていて、血の通ったあたたかさのあるバンドだという印象を受けた。

新年度メンバーも大募集中とのことなので、関西で加入先を探している方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。きっと濃密なシーズンを送ることができるだろう。

JOKERS Drum&Bugle Corps

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