【マーチングバンド解体新書】東海ドラムコーの雄「Imperial Sound Drum&Bugle Corps」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する企画、【マーチングバンド解体新書】シリーズ。今回は2021年シーズンで35周年を迎えた東海ドラムコーの雄『Imperial Sound Drum&Bugle Corps』を紹介したい。ディレクター兼広報を務める内海祐樹(うつみ・ゆうき)さんにお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

Imperial Sound Drum&Bugle Corpsについて

団体正式名称:Imperial Sound Drum & Bugle Corps(インペリアルサウンド ドラムアンドビューグルコー)
団体所在地:愛知県名古屋市
創設年:1986年
団体の編成:ブラス(G管ビューグル)、バッテリー、フロントピット、カラーガード
活動理念:「クールでビターなショーはいかがですか?」

Imperial Sound(以下、インペリ)は、1983(昭和58)年に愛知県で開催された高校総体での合同演奏に参加した東海工業高校(現・愛知産業大学工業高校)のOBが脇谷勲先生(現・日本マーチング協会東海支部副会長)に相談し、1986年に結成されたそうだ。なお、結成当初はビューグルを使用しておらず、名称も『Imperial Sound』だった。その後1991年にブラスラインをビューグルに総入れ替えし、現在の編成と名称に変更されたとのこと。

他の団体にはない「インペリならでは」なエピソード

インペリには音楽好きなメンバーが多く、楽曲の知名度よりみんなの好みなどで選曲することも多いそうだ。2020年度のショープログラムを決定する際には、メンバー有志によるプレゼン大会が行われたという。

内海:「どんなコンセプトでどういう曲を使うかなどを発表してもらって、メンバーが投票して決めました。メンバーが少ないので出来ることかもしれませんね。在籍年数に関わらずみんなで案や意見を出し合って決めたのですが、それぞれの持つ音楽性や価値観が垣間見えたりして面白い取り組みだったと思います」

なお、結成35周年となる2021年度は、過去プログラムより厳選された楽曲を構成したとのこと。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週2回(土日のいずれか、あるいは両方)
※平常時は毎週土曜日の14~17時+日曜は終日の週2回。愛知県の緊急事態宣言下は練習休止。

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋外

内海:「名古屋市周辺の公園を中心に活動しています。大会が近くなると愛知県内、時には岐阜県や三重県、静岡県などの体育館で練習することもあります。インペリは練習場所をSNS等で公開しています。感染拡大状況によりますが見学や参加も可能です」

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.31~40名

Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.23~25歳

内海:「2021年度は39名が所属し、平均年齢は24歳でした」

Q.新規加入は例年何名くらいいますか?
A.~10名

Q.脱退(シーズン途中を含む)は例年何名くらいいますか?
A.~10名

Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている

2021年度のメンバーは40名弱。現在は高校生から30代までのメンバーが在籍している。一番多いのが大学・専門学校生とのこと。ほとんどが愛知県民で、岐阜県や静岡県から通うメンバーもいるそうだ。

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか?
A.高校生以上 ※高校生は保護者の同意が必要

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円

インペリの活動費は学生と社会人で金額が異なる(社会人が月8,000円、学生は月5,000円)。合宿費(5,000円程度)や遠征費(遠征先によって異なるが、概ね20,000円程度)等は都度発生する。

衣装は基本的に貸与(15,000円/1シーズン)だが、購入も可能(5万円程度。4シーズン以上在籍する場合は購入したほうが割安)。

楽器のレンタルは無料。ブラスの場合は『キレイに使うこと』というお約束があり、バッテリーやガードの消耗品については原則各自負担となる。

内海:「その他、紹介制度(メンバーが紹介した人が入隊すると、1人につき1ヶ月分隊費免除)や、入隊初月無料(入隊した月は隊費免除)などの割引制度もあります!」

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.
・一度以上の見学が必要
・高校生の場合は保護者の同意が必要
・練習に参加できる(参加率が低い場合は要相談)

コロナ禍での活動について聞いてみました

Q.2020年はどのような活動を行いましたか?
A.練習を行い、大会にも参加した(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2021年度の活動はどのように行う予定ですか?
A.練習を行い、大会にも参加予定(オンライン参加や、任意のメンバーのみで行うアンサンブル等も含む)

Q.2020年度の大会参加状況について教えて下さい
A.予定どおり出場した

Q.2021年度の大会参加予定について教えて下さい
A.可能な限り参加予定

内海:「マーチング協会、マーチング祭の大会に出場しました。マーチング・イン・オカヤマにも出場予定でしたが、緊急事態宣言が発令されたため辞退しました」

Q.コロナ禍で困っていることは何ですか?
A.練習場所の確保

Q.コロナ禍で活動する意味をどのように考えていますか?
A.国や自治体の方針に従って活動しています(感染症対策をする/緊急事態宣言時は練習中止など)

内海:「2020年度の第一波の時点で隊のガイドラインを作成し、以降はそれに則って活動を行っています。緊急事態宣言下は活動を休止しますが、休止中もショーの制作は止めず、出られる大会には参加するという方向でやってきました。何事もテーマを設けず過ごしてしまうとモチベーションが低下してしまうので、そのあたりは工夫しましたね。シーズンの最後に演奏会を企画していましたが、実施できなくなって……演奏会のために予約していた会場で動画を撮って配信するという形で2020年シーズンは終わりを迎えました。今年度は幸い脱退メンバーが少ない上に新加入メンバーも入ってくれたのでよかったですが、正直オンライン説明会や配信などはどのくらいの効果があるものなのか模索中ではありますね」

コロナ禍で迎えたインペリ35周年となる2021年度は、M協・東海大会やマーチング祭・東海オープンなどでパフォーマンスを披露してくれた。東海地区の高校は吹連パレコンが盛んのようだが、内海さんは「ドラムコーは未経験という方も大歓迎です」と話していた。インペリは、少数だからこそ一人ひとりにしっかりとした技術が求められる。大編成バンドにはない学び、ドラムコーの良さ、そして音楽好きな仲間が待っていることだろう。来シーズンに向け練習見学やメンバー募集など案内を随時行っているので、ぜひチェックしてみてほしい。

「Imperial Sound Drum&Bugle Corps」

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