【コロナ禍でのクラブ活動、子どもとマーチング】横浜市立中田小学校の場合(後編)

マーチングの強豪ひしめく神奈川県内において、優秀な成績を収めている横浜市立中田小学校。記事前編ではどのような練習を行っているかを紹介した。

記事前編

後編では現在の活動事情や、クラブ活動改革について、先生・保護者・児童それぞれの意見を紹介したい。

部活動改革とコロナによる活動制限 

中田小のマーチングバンドは、3~6年生で構成されている。授業時間外にも活動を行える『特設クラブ』で、昨年度までは週4回の朝練に加え週2回放課後の練習と、毎週土曜に終日練習を行っていた。今年は新型コロナウイルスの影響から長らく休校が続き、6月になって分散登校開始、クラブ活動再開は7月から。朝練は半減し土曜は半日で切り上げと、練習時間は大幅に減った。

中田小マーチングバンドの顧問を務める音楽教員の内野征治(うちの・まさはる)先生は、「クラブ活動を取り巻く環境は少しずつ変わってきていると思いますが、昨年度あたりからハッキリと変化を感じました。周りの中学校は部活動の時間を大幅に削減されたことを聞いていたのもあります」と言う。

「今年度はコロナの件もあって部活動が全面的に活動停止になり、その後横浜市からガイドラインが出たんですが、その中に『小学校のクラブ活動の時間も中学校の部活動に準ずる』と記載されていて。これまで小学校のクラブ活動についてあいまいになっていたところを、これからは合わせていくことになるのだなと――部活動を地域に還そうという流れもありますが、マーチングはなかなか難しいのではないかと思います。個人的な意見としては、負担を強く感じている先生に部活動教育をやらせるのは良くないと思いますが、やりたいと思っている先生まで出来なくしてしまうのはどうなのかな? と思います」

マーチング一年目の9歳の児童、保護者 それぞれの考え

現在3年生で、今年からマーチングバンドを始めたという小野寺玲桜(おのでら・れお)くんに話を聞いた。三学年上の姉がマーチングバンドでユーフォニウムを吹いていて、本人曰く「お姉ちゃんに負けたくない」と思って始めたのだという。今年はバッテリーで、ベースドラムの1番を担当している。

マーチングを始めてみた感想は「思ったより大変」、ベースドラムの好きなところは「みんなで一つの楽器だから」と話す。初本番は、2020年9月26日(土)に藤沢市秋葉台文化体育館で行われた『神奈川県マーチングフェスティバル』だった。「初めは緊張したけど、舞台に出て演奏前の基礎練をやってたらなんだか気持ちが楽になって(本番が)楽しくなった!」と笑顔を見せた。

次の本番は12月に開催予定のJapan Cupだが、これには不安があるのだそう。理由を聞くと、「一曲目は出来てるけど、二曲目と三曲目がイマイチだから……あと一ヶ月もないからちゃんとできるかなって」と言葉を濁した。

約10分間フロアで楽しくショーをやるためには、その何倍もの地味で地道な練習が必要であることをどうやら既に理解しているようだった。そして、ルーキーイヤーながらに「時間がない」ということも。

玲桜くんの母親で、中田小の保護者代表を務める小野寺さんは、「コロナに対しては心配な面はありますが、練習や大会ができなくなった時は『子どもたちにもっと本気でやらせてあげたかったな』と個人的には思いました」と話す。

「我が家は小6の娘と小3の息子の二人がマーチングをやっていますが、特に娘はみんなの前で発言できずに泣き出すこともあるくらいよく泣く子だったんです。マーチングを始めてからは練習でうまく行かずに泣いたりもしていたようですが、マーチングをやるために他のことを頑張ったり、練習でみんなの前で怒られても立ち直って練習に行ったり、大勢の前で何かをやれるようになって……本当に精神的に成長したと思います。12月のJapan Cup、一番は後悔しないようにやりきってほしいなと思います」

2020年は各団体が圧倒的に練習時間が足りない中での活動となってしまったが、失った時間を嘆くより、「いかに後悔せずに終わるか」「そのために短い時間でどうやって精度を高めるか」を児童が主体となって活動している中田小学校のマーチングバンドは、とても素晴らしいクラブだと感じた。

これからも「がんばりたい」児童・生徒、「応援したい」保護者、「協力したい」教員・指導者がうまく連携をとって活動できるよう、部活動改革が画一的なものにならないことを願いたい(了)

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