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吹奏楽やマーチングバンドが全国的に普及する一方で、現代の教育現場では教員の働き方改革が大きな課題となっています。長時間労働や過度な業務負担が問題視され、先生方の心身の健康を守りながら教育の質を高める必要性が指摘されています。
部活動は、子どもたち一人ひとりの成長にとって大きな意義があります。しかしその一方で、指導者が疲弊してしまう構造的な課題も見受けられます。一般的に、コンクールや大会を目指す団体は練習量が多く、教員が休日返上で指導にあたるケースも少なくありません。 特に注目されやすいのは上位入賞を狙うハイレベル校ですが、実際には中位以下の学校により大きな負担がかかっている可能性があると考えられます。
ハイレベル校では保護者の支援が比較的手厚く、雑務を保護者が担ったり、外部コーチが充実している場合もあります。一方で、中位以下の学校では保護者の支援が限られ、顧問が雑務から指導まで幅広く担っているケースも多いのではないでしょうか。さらに、少子化による部員数の減少により、練習の質を維持するための負担が一層大きくなっているように感じられます。
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また、吹奏楽は室内のみでの練習が可能ですが、マーチングは演技フロアの都合上、体育館や屋外での練習が必要となります。冬は楽器が冷えて音が合わせにくく、手もかじかみますし、夏は炎天下での活動となり、熱中症のリスクも伴います。さらに、演奏しながら動きを揃える必要があるため、身体的な負担は非常に大きく、場合によってはスポーツ以上に感じられることもあるでしょう。「屋外で活動している運動部もある」という意見もありますが、マーチングで使用する楽器の中には10キロ近い重さのものもあり、動きの精度も求められる点を踏まえると、その負荷の大きさについて、より理解が広がる余地があると感じられます。
外部コーチを依頼する予算が確保できない学校では、顧問や指導教員が次のような業務を一手に担うと推察されます。
このような状況では、教員の働き方改革どころか、部活動の継続そのものが危うくなるのは当然と言えるでしょう。 多くの自治体が文部科学省や厚生労働省の方針に沿って「教員の働き方改革」や「部活動の地域移行」を掲げていますが、現場の条件改善が伴わなければ、先生方や地域の指導者が疲弊し、結果として担い手が減少していくことも懸念されます。
部活動は、子どもたちの成長に欠かせない大切な学びの場です。 だからこそ、現場の実態に即した支援と仕組みづくりが求められているのではないでしょうか。学校単位の努力だけに委ねるのではなく、地域や行政を含めた持続可能な運営体制をどのように構築していくのかが、今後の大きな課題になると考えられます。
1枚目:1989年(平成元)年 初めての全日本吹奏楽コンクール
2枚目:1988年(昭和63)年 第1回全日本マーチングフェスティバル
玉名女子高校吹奏楽部は、1988(昭和63)年に神戸ポートアイランドホールで開催された「第1回全日本マーチングフェスティバル(現名称・全日本マーチングコンテスト、主催:全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)」に出場し、翌1989(平成元)年開催の「第37回全日本吹奏楽コンクール」で初めて普門館で演奏しました。座奏とマーチングを両立させるための練習は厳しかったのですが、学校と保護者の理解があったからこそ活動できたと思います。

著者プロフィール
森義臣(もり・よしおみ)
日本マーチングバンド協会九州支部初代理事長、熊本県マーチングバンド協会名誉会長。熊本県芸術功労者賞受賞。
玉名女子高等学校吹奏楽部を創設時から指導し、日本有数の吹奏楽部へと育て上げたほか、テレビ熊本主催『くまもとマーチングフェスティバル』に50年以上携わり、九州の吹奏楽・マーチング界に多大な影響を与えている。