【マーチングバンド解体新書】逆境を力に変えた!注目必須の上昇株「千葉敬愛高等学校マーチングバンドGraceful Spirit」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は千葉県を本拠地に活動する『千葉敬愛高等学校マーチングバンドGraceful Spirit』を紹介したい。コロナ禍で思うように活動が出来なかった間に自分たちを見つめ直し、着実に実力を上げた団体だ。

活動内容や部の様子について、顧問の小早稲茂雄(こわせ・しげお)先生からお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

 

千葉敬愛高等学校マーチングバンドGraceful Spiritについて

団体正式名称:千葉敬愛高等学校マーチングバンドGraceful Spirit(チバケイアイコウトウガッコウマーチングバンド グレイスフルスピリット)
団体所在地:千葉県四街道市
創設年:吹奏楽部は古くからあり、2002(平成14)年からマーチング活動を開始。2010(平成22)年からマーチングバンド部として活動。
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション(バッテリー、フロントピット)、カラーガード
金管:Tp、Mello、Hn、Bariton、Euph、Tuba
活動理念:「愛し愛される部活動」であること
・仲間同士の絆を大切にし、自分自身を成長させてくれる人やものに感謝すること。
・演技、演奏のための努力を惜しまず、日々の学習においても全力で取り組むこと。
・言動と行動の礼節を弁え、学校内外問わず、部員としての自覚と責任をもつこと。

千葉敬愛高等学校は1925(大正14)年に創立された私立高校で、現顧問の小早稲先生は1991(平成3)年から指導にあたっている。当初は吹奏楽部として座奏の活動をメインに行なっていたが、2002(平成14)年からマーチング活動も開始。2010(平成22)年にマーチング一本に絞って活動することに決め、団体名称も吹奏楽部から現名称に変更した。

小早稲:「方向転換についてメリット・デメリットで言うならば、結論メリットしかなかったです。まず第一に、マーチングバンド一本で活動するようになってから、生徒たちが非常にイキイキと活動するようになりました。『マーチングは座奏に比べると音が荒い』という意見もありますし、以前は私もそう考えていた時期もありましたが、いざマーチングに絞ってみたら座奏をやっていたときよりも音が良くなったと感じています。マーチングは一つのプログラム内でやることが多い分、楽曲に対する理解を深めていかなければならないので、生徒たちの中で『自分たちの目指す音楽』の解像度が上がったのか、練習の自主性も上がりました」

 

他の団体にはない「千葉敬愛ならでは」なエピソード

千葉敬愛の部則は、近年の一般的な文化部の傾向から見ると比較的厳格な方にある。しかし、理不尽な理由で生徒を縛り付けるようなものではなく、しっかりとした理由で裏付けされている。学内の他の部活の生徒たちにも心から応援してもらえる【愛し愛される部活動】でいられるように、部則や校則はもちろん、勉学との両立や学内での生活態度についても自らを律していくよう促している。

小早稲:「マーチングはやはり“組織力”が重要だと思います。なぜルールを守らなくてはいけないのか、個人の身勝手な考えや行動は組織にどんな影響を与えるのか――学校や部活は社会の縮図です。社会に出る前に学校生活や部活動を通じて社会性を学び、身につけてもらいたいと考えています」

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.平日火~金曜と土・日・祭日

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

小早稲:「基本月曜がお休みです。また、試験一週間前は練習を休止します。平日は音をメインに練習し、週末は千葉敬愛短期大学(千葉県佐倉市)の体育館でドリルの練習を行います」

 

2.メンバーについて

Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い

小早稲:「四街道市や習志野市、遠くは横芝光町、佐原市などから通う生徒もいます」

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.59名(2022年度)

 

3.実際に加入するためには

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)

小早稲:「入部する生徒のほとんどがマーチング未経験者で、マーチング以前に楽器未経験の初心者も多いです。基本的には希望するパートをやらせてあげたいですが、編成の都合上オーディションを行うこともあります」

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.11~15万円

千葉敬愛は楽器は全セクション学校貸与(無償)のみで、衣装は無償貸与+大会用衣装は個人購入となっている。カラーガードの手具は基本的に無償だが、ライフルのみ有償とのこと。また、プロップ等大道具は保護者たちによる手作りだそうだ。

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.文武両道を大切に。赤点により課題や追試が発生した時点から部活動参加を自粛して、それらがクリアした時点で参加を認める。

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・全日本吹奏楽連盟(吹連)主催大会
JAPAN CUP
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・他の部活動の応援演奏(甲子園など)
・演奏会などの自主公演

Q.コロナ禍で困ったことは何ですか?
A.
・コロナ対策に費用が掛かる
・対応すべき項目が増えた

小早稲:「コロナ禍で大変なことも多かったですが、マイナスなことだけではなく学びや得るものもありました。本校は運動部も盛んな学校なので日頃体育館は使えないのですが、運動部の活動が減少したため、以前よりも体育館練習を実施できたことは大きかったです。その結果、全体としての底上げに繋がり、コロナ禍以前と以降で大会結果にも変化が現れました。感染症対策は行政の指示と自主的な対応を徹底して行い、出欠確認アプリによって部員一人一人の体調を見える化し、状況の把握にも務めました」

千葉県は吹奏楽が非常に盛んな地域で、実力ある高校も多いが、県内であっても遠すぎて通学が難しい場合も多い。また、吹奏楽と言っても座奏とマーチングのどちらをやりたいかなど、部としての方向性が自分に合うかどうかの問題もある。そんな中、近年マーチングを理由に千葉敬愛に進学を検討する中学生も増えてきているそうだ。

千葉敬愛は、千葉県北部のマーチングをやりたい小中学生にとって「憧れのお兄さん・お姉さん的存在」となっているのだ。コロナ禍という逆境で実力を上げさらなる飛躍を目指す千葉敬愛には、これからも注目していきたい。

千葉敬愛高等学校マーチングバンドGraceful Spirit

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