「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。
今回は、2024年12月に開催された第52回マーチングバンド全国大会に初出場を果たした『滝川第二高等学校吹奏楽部』を紹介したい。部の様子や活動状況について、顧問の西谷尚生(にしたに・まさお)先生と本庄直人(ほんじょう・なおと)先生からお話を伺った。
団体正式名称:滝川第二高等学校吹奏楽部(タキガワダイニコウトウガッコウスイソウガクブ)
団体所在地:兵庫県神戸市西区
創設年:1984(昭和59)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション(バッテリー、フロントピット)
※吹奏楽時の編成は、
金管:Tp,Hr,Tb,Euph,Tuba
木管:Cl(Es,♭B,Alto,Bass),Fg,Ob,Fl,Picc,Sax(Sop,Alto,Tenor,Bari)
弦楽器:Cb
マーチング活動時は、
金管:Tp,Mello,Tb,Euph,Tuba,Sousa
木管:Cl(Es,♭B,Bass),Fl,Picc,Sax(Sop,Alto,Tenor,Bari)
活動理念:「感謝の気持ちを大切に」をモットーに、演奏できる喜びと、私たちを支えてくださる全ての方々に常に感謝し、情熱を持って日々努力しております。
滝川第二高等学校は、兵庫県神戸市西区にある私立の共学高校で、同市須磨区にある滝川中学校・高等学校の姉妹校だ。自然豊かな敷地には、併設の中学校のほか、野球場、ゴルフ練習場、アーチェリー場、テニスコートなどがあり、設備が充実している。部活動が盛んで、中でも野球部、サッカー部、卓球部、剣道部、陸上競技部、ゴルフ部、吹奏楽部の7つは重点部活動として強化部に指定されており、いずれも全国大会レベルで、多くのプロスポーツ選手を輩出している。
吹奏楽部は学校創立時の1984(昭和59)年に設立された。マーチングは1997(平成9)年から活動を開始。近隣地域の中学校にマーチング活動を行っている吹奏楽部があり、憧れや目標として滝二への進学を志す生徒も多いそうだ。吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテスト、マーチングコンテストなど全日本吹奏楽連盟主催大会に出場していたが、近年は部員増加に伴い、「全員で取り組める活動の場」を求め日本マーチングバンド協会主催大会にも参戦。2024年度は創部史上初の関西大会の壁を突破し、全国大会初出場を果たし、吹奏楽ファンから注目を集めた。
去る2024年12月開催の『第52回マーチングバンド全国大会』に初出場を果たした滝二は、強豪校がひしめく高等学校の部において唯一のカラーガードなしの編成で挑んだ。カラーガードはショーを構成する上でビジュアルを左右する存在なだけに、普段担当している楽器を持ち替えてメンバーを配置するという団体も多い中、滝二は敢えてのノーガード戦法を選んだのだ。
西谷:カラーガードを入れたくないわけではなく、やるなら相応のレベルのものを見せなくてはと思っているからこその選択でした。中途半端なレベルで(カラーガードを)やるよりも、不在であることを感じさせない表現力や演技力を鍛え、ギミックやドリルに磨きをかけた結果掴んだM協全国の切符だったと思います。今年(2025年度)もこの編成で大会に挑みます。
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週7日(平日放課後+土日)
Q.練習場所はどんな場所?
A.屋外
西谷:吹奏楽コンクール組の55名を除いて、マーチングの練習は年間通じて行っています。生徒が練習スケジュールを決めているのですが、筋トレやランニングなどの体力づくりから、MMなどのベーシックも熱心に取り組んでいるようです。座奏の練習も外で吹くことが多く、「座奏だから」、「マーチングだから」と切り離して考えないほうがいいのかなと思っています。
Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.124名(2025年度)
現在の部員全員が兵庫県民で、神戸市民の割合が高いとのこと。ちなみに滝二は全校生徒が1千人程度の学校なので、生徒の1割以上が吹奏楽部員ということになる。
Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.必ず行っている
西谷:吹奏楽部は学校の強化指定部活動のためです。部員全員が吹奏楽経験者で、マーチング経験者は全体の半数程度です。
Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円
部費は7千円/月(年額8万4千円)だが、入部時には衣装やウィンドブレーカーや練習着、シューズ等の購入が必要となるため、初年度のみ年間総額12万円程度となる。その他、活動状況に応じて遠征費が都度発生するそうだ。
Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・全日本吹奏楽連盟(吹連)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・スポーツイベント(プロチーム主催ゲームのゲスト演奏など)
・他の部活動の応援演奏(甲子園など)
・演奏会などの自主公演
Q.将来的に挑戦したい(または現在企画している)ものがあれば教えてください
A.
・マーチングバンド全国大会(M協主催)への出場
・マーチングステージ全国大会(M協主催)への出場
・吹奏楽コンクール(全日本吹奏楽連盟)への出場
・アンサンブルコンテスト(全日本吹奏楽連盟)への出場
・全日本マーチングコンテスト(吹連・朝日新聞主催、通称:パレコン)への出場
・海外で行われる音楽祭や芸術祭などの出演
・テーマパークやスポーツイベントなどへの出演
・自主事業(コンサートやイベントなど自ら企画し実施するもの)の開催
マーチングバンド全国大会では、座奏で鍛えた演奏技術とカラーガード不在を感じさせない目まぐるしいドリル展開で観客席を大いに沸かせた。今年度もカラーガード不在で挑むそうだが、どんなショーを披露してくれるのか楽しみだ。日本橋中学校同様、「シンプルな編成でもやるべきことを果たせば結果はついてくる」ということを教えてくれる存在として、これからも注目していきたい。
「滝川第二高等学校吹奏楽部」
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