「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。
先日開幕した第97回選抜高等学校野球大会(通称・春のセンバツ)では21世紀枠で出場を果たした壱岐高校(長崎県)が話題となったが、マーチング界にも離島から全国大会出場を果たし活躍する学校がある。それが、今回紹介する『石垣市立石垣第二中学校吹奏楽・マーチングバンド部』だ。部の様子や活動状況について、顧問の平田芽希(ひらた・めき)先生、部長の大底史織(おおそこ・しおり)さん、副部長の宮里葵(みやざと・あおい)さん、高橋結生(たかはし・ゆいき)さんからお話を伺った。
団体正式名称:石垣市立石垣第二中学校吹奏楽・マーチングバンド部(イシガキシリツイシガキダイニチュウガッコウスイソウガク・マーチングバンドブ)
団体所在地:沖縄県石垣市
創設年:
団体の編成:ブラス(※1)、パーカッション(バッテリー、フロントピット)、カラーガード(※2)
※1 編成詳細は以下の通り
金管:Tp,Mello,Tb,Euph,Tuba
木管:Sax(Alto,Tenor),Cl,Fl
→ClとFlは吹奏楽編成時のみ。マーチング活動時にはカラーガードやバッテリーパーカッションを担当
※2 常設ではなく、マーチング活動時のみ
活動理念:「地域・学校・生徒・保護者」の四輪駆動で何一つ欠けることなく連携、協力して、活動することを大切にしている。
石垣市立石垣第二中学校は、沖縄県石垣市にある公立中学校だ。2024年度は学年5~6クラスあり、1クラスあたり40名ほどの生徒が在籍している。全国大会常連校として知られる吹奏楽・マーチングバンド部のほか、琉球舞踊の普及・発展に取り組む郷土芸能部が盛んとのこと。市内に中学校は大小合わせて11校あるが、マーチングバンド部があるのは石垣第二のみだ。
マーチング活動は1990年代後半からとのこと。石垣市立平真小学校でマーチングバンド部だった生徒たちが「中学校でもマーチングをやりたい」と希望したことから始まったそうだ。試しに体育祭などの校内行事でパフォーマンスを披露したことから部として発足し、以降は沖縄県立西原高校と連携してマーチングを学んだという。また、以前紹介した八重山高校カラーガード部は、石垣二中の卒業生が中心となって発足した部活動である。
副部長の高橋さんは石垣島について「海がきれいで、ごはんがおいしい」と話してくれたが、離島であることで苦労も多い。2024年12月に行われたマーチングバンド全国大会の際、遠征費用は一人当たり15万円が掛かった。このときは地域の方々と協力し、クラウドファンディングで費用を賄った。離島ならではの苦労や不便さもあるが、地域との連携や協力体制は抜群だ。
平田:私たちの部は地域の方に支えられて活動できている部活動です。定期演奏会のパンフレット広告では地域の企業やお店がたくさん協賛してくださっていますし、地域のお祭りでは屋台を出店して、売上や募金を募って活動費用を稼いでいます。来月4月に石垣島でトライアスロンの大会があるのですが、その設営協力をさせていただいて、報酬は活動費用に充てる予定です。本当に、地域の方々あってこその私たちと言えます。
Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.水曜日を除く平日放課後+土曜
Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内
平田:学校の体育館や音楽室のほか、市の総合体育館を利用して練習を行っています。沖縄本島から指導者が毎週末指導に来てくれますが、平日は自分達で考えた自主的な練習のため技術指導の機会が貴重であり、指導に飢えたハングリー精神をもつ部員が多いのが部の特徴だと思います。
Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い
Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.41名(2024年度)
Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)
Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円
石垣第二の部費は年額4万8千円(月4千円)、部のTシャツ(2千円)とウインドブレーカー(5千円)、シューズとカラーガードの手袋は個人購入となっている。
衣装は全セクションで無償貸与、楽器も無償貸与で、スティックやマレット、カラーガードの手具も無償貸与とかなり良心的な設定だ。
Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・他の部活動の応援演奏(甲子園など)
・演奏会などの自主公演
平田:コロナ以前は吹奏楽コンクールにも取り組んでいましたが、現在は行っていません。座奏での活動は、校内行事の式典演奏や地区の行事などです。
Q.将来的に挑戦したい(または現在企画している)ものがあれば教えてください
A.
・マーチングバンド全国大会(M協主催)への出場
・活動拠点の地域で行われるご当地イベント(お祭りなど)への参加
・自主事業(コンサートやイベントなど自ら企画し実施するもの)の開催
・本番や大会など対外的なものではなく、資金調達や活動環境の向上など団体内に還元できるもの
Q.いま一番困っていることは何ですか
A.メンバー数(少なすぎる/多すぎる)
マーチングをやっていてよかったことを訊くと、部長の大底さんは「仲間の大切さ。困難を乗り越える力を得られた」と答えてくれた。また、副部長の宮里さんは石垣第二でマーチングを始めたそうだが、「練習を通じて上下関係や礼儀を学べたことは大きい。大人になっても生かせる経験を得られた」と話す。昨今はマーチングを始める・続ける環境がますます厳しくなってるが、こうして生徒が自ら得られたものを語る姿を見ると、教育とマーチングの相性の良さを感じざるを得ない。地域の方々が熱心に応援するのも、生徒たちの成長が感じられたり、素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれることに大きな価値を感じるからだろう。「離島で頑張る子どもたち」というとメジャーなスポーツ競技などがクローズアップされがちだが、こうした文化部活動にも光が当たることを期待したい。