日本一楽しいマーチングバンドを目指す「THE FOCUS」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回紹介するのは、静岡県浜松市を拠点に活動する新進気鋭のバンド『THE FOCUS』。発足からまだ数年の新しい団体だが、イキイキとプレーする姿は全国のマーチングファンから注目を集めている。日頃の活動の様子などについて、代表の向井峻也(むかい・たかや)さん、副代表の向井和花(むかい・のどか)さん、ドラムメジャーの山田陽輔(やまだ・ようすけ)さんからお話を伺った。

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THE FOCUSについて

団体正式名称:THE FOCUS(ザ フォーカス)
団体所在地:静岡県浜松市
創設年: 2019(平成31)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション、カラーガード
※Tp、Mello、Baritone、Tuba
活動理念:「日本一楽しいマーチングバンド」を目指し、練習を通してメンバーひとりひとりの人間力が向上するよう、日々コミュニケーションを大切にしながら活動すること。

『THE FOCUS』は、かつて静岡県浜松市を中心に活動していたマーチングバンドの解散を受け、「まだマーチングを続けたい!」という思いから設立された。活動初年度から東海地区代表として第47回マーチングバンド全国大会(日本マーチングバンド協会主催)に、一般の部・大編成で出場を果たすなど、精力的な活動を行っている。発足6年目となる現在は、各種大会やイベントへの参加に加え、YouTubeや、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用した情報発信にも力を入れている。

活動理念は、「日本一楽しいマーチングバンド」。だが、向井代表は「私たちはマーチングをすることだけが目的ではない」と言い切る。

向井代表:ただプレーするだけでなく、マーチングを通して人間力の向上を目指しています。年齢や立場を問わず、「ありがとう」と「ごめんね」をちゃんと言えることを大切にしていて、こうした当たり前のことをすることでメンバー同士の絆が深まると思っています。メンバーには、プレーヤーでなくなってからも社会で必要とされる「最強で最高な人間」になってもらいたいです。

また、コミュニケーションを大切にしているそうだ。特に、若い年齢のメンバーに対して面談を行い、メンタルケアに務め、悩みや不安に感じていることを話せる環境づくりを行っている。

 

他の団体にはない「FOCUSならでは」なエピソード

FOCUSのメンバーが着用しているジャケットの襟部分には通しナンバーが振られている。これは、これまでメンバーとして加入したすべての人に割り当てられているものだそうだ。

向井副代表:メンバーになってくれた仲間一人ひとりを大切にしたくて、通し番号を入れています。叶うことならば少しでも長く活動してくれたらいいのですが、事情により1シーズンしかプレーできないというメンバーもいます。短くとも「FOCUSにいた」という事実には変わりないですし、そうしたメンバーがいたということの積み重ねが団体の歴史になっていくと思っています。

このナンバーには、在籍期間の長さを問わず「共にFOCUSの歴史を作った仲間である証」という、静かで熱い意味が込められている。大会シーズンはジャケットを目にする機会も増えるので、会場で見かけた際にはぜひ注目してみてほしい。

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週1回(基本的に日曜日)。※大会前などは土曜日も行う場合あり。

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

基本的に浜松市内の学校施設や公共の体育館で行うが、場合によっては河川敷などの屋外での練習もあるという。

 

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.75名(2024年度)

Q.所属メンバーの平均年齢を教えて下さい
A.23~25歳

Q.所属メンバーの中で「一番多い」属性はどれですか?
A.大学生〜社会人(フリーターを含む)

向井副代表:近年は平均して70名程度が在籍しています。年齢層は幅広く、2024年度は16歳〜43歳のメンバーが在籍しています。大学生〜社会人が一番多いですね。

Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「外」の都道府県から通っている

向井副代表:私達の団体は静岡県浜松市を拠点にしていますが、様々な場所からメンバーが集まっています。日本の真ん中に位置する東海地区ならではの特徴だと思います。実は静岡県内のメンバーは全体の半数しかおらず、その中で浜松市に住んでいるメンバーはその半分なので、全体の4分の1程度です。静岡県内からは、袋井市、掛川市、磐田市、富士市などから参加しています。

残り半数の県外メンバーは、東海(愛知県、岐阜県)、関西(京都府、大阪府、奈良県)、関東(東京都、神奈川県)から集まっているとのこと。過去には山梨県や兵庫県、埼玉県から参加するメンバーもいたそうだ。団体発足からそこまで経っていなくても広域からメンバーが集まるということは、浜松の地理的な点も含めても魅力的な団体であると言えるだろう。

 

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか? 
A.参加は高校生(15歳)以上

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.状況に応じて行なっている(パートや応募状況など)

向井代表:バッテリーは毎年オーディションを行っていますが、ブラスはソリストのみ、カラーガードはライフルラインのみオーディションを行います。

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.約15万円(活動状況により変動あり)

FOCUSの活動費は、一般メンバー8万5千円/年、高校生メンバー8万円/年。加入初年度は、ジャケット購入のために別途約2万〜3万円が発生する。その他、活動状況に応じて合宿や大会の際に遠征費用がかかるとのこと。

楽器について、ブラスとパーカッションは無償貸与あり。但し、スティックは自前購入となる。また、個人所有楽器の使用も可能とのこと。カラーガードのポールとフラッグは団体提供だが、ライフルとセイバーは個人購入とのこと。

衣装について、ブラスとパーカッションが個人購入(フルセットで購入すると約3万〜4万円)、カラーガードも個人購入(年度により金額の変動あり)となる。また、シューズやインナー、グローブなど個人の消耗品も別途調達が必要となる。

Q.その他、活動参加に際し必要な条件があれば教えて下さい
A.2週連続で休まずに練習参加できること。きちんとコミュニケーションを取ることを怠らない人。

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・Drum Corps Japan(DCJ)主催大会 ※WGJ、I&Eを含む
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・企業イベント
・演奏会などの自主公演
・マーチング祭り主催のイベント

Q.将来的に挑戦したい(または現在企画している)ものがあれば教えてください
A.現状維持を考えている

向井代表:様々な大会やイベントに参加させていただいていますので、現在参加しているイベントを大事にしながら活動していきたいと考えています。

Q.いま一番困っていることは何ですか
A.練習場所がない・見つからない

FOCUSの意欲的なショーづくりやインターネットでの発信の巧みさなどは存じていたが、ジャケットの通し番号や、若手メンバーのメンタルケアなどに取り組むあたり、団体として一人ひとりのメンバーを大切にしていることが感じられた。これからも令和世代を代表する団体として、活動に注目していきたい。

THE FOCUS

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