2026年7月26日(日)から8月1日(土)に開催された「あきた総文2026」。マーチングナビ編集部は、マーチングバンド・バトントワリング部門が出演する7月26日(日)のパレードと、7月27日(月)の部門大会リハーサル、7月28日(火)の部門大会の取材を行った。

正式名称は『第50回全国高等学校総合文化祭』(以下、高文祭)。インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の文化部版として知られる。1977(昭和52)年から全国の都道府県が持ち回りで行われ、秋田県での開催は45年ぶり。19の規定部門と開催県独自に行う協賛部門で展示、発表、競技等が繰り広げられるほか、海外から3か国の団体(高校生)を招き、県内高校生と文化交流が行われた。国内最大規模の高校生の芸術文化の祭典で、約2万人の高校生が秋田県を訪れることもあり、開催期間中は街中も賑わっていた。
マーチングバンド・バトントワリング部門が出演するパレードは広小路(秋田市中心街)、部門大会は県立武道館(秋田市)で開催され、全国の都道府県の代表校が演奏演技を披露した。

あきた総文初日の7月26日(日)、あきた芸術劇場ミルハスで開催された総合開会式のあとにパレードが行われた。会場となった広小路は、北側に千秋公園(久保田城跡)のお堀、南側に県立美術館などが並ぶ市の中心街で、沿道には多くの観覧客や報道陣が集まった。
パレードにはマーチングバンド部門から23校20団体(982人)、バトントワリング部門から22校17団体(239人)に加え、海外招聘校と生徒実行委員会の6団体(103人)の合計43団体(1,324人)が参加。パレードの出発前には秋田工業高校竿燈(かんとう)会による竿燈の実演も行われ、沿道からも掛け声が上がっていた。

今回のパレードコースは全長約460メートル、道幅が広い直線で起伏なし、曇天で夕刻からの開催、気温は24℃程度と、プレーヤーからするとこれ以上ない好条件が揃っていた。真夏のイベント開催はもはや命がけとなる昨今、今回はまさに奇跡的な巡り合わせだった。

パレード参加各校は日頃の練習の成果を惜しむことなく披露し、沿道は大いに盛り上がった。頭のてっぺんからつま先までキッチリと揃った美技には驚きの声が上がり、華やかなサウンドに聞き入る観客の姿も見られたほか、ステップなどのパフォーマンスには大きな拍手が送られていた。中でもオープニングを飾った秋田県合同マーチングバンドとトリを務めたノースアジア大学明桜高等学校などの地元校への声援はひとしお大きかった。

また、パレードでは各団体の演奏曲だけでなく個性豊かなユニフォームも楽しめた。クラシカルな定番ユニフォームをはじめ、近年普及しているストレッチ素材の軽量プリントタイプや半袖Tシャツから、野球のユニフォームを着用した京都外大西高等学校(京都府)や、制服姿が印象的だった松山東雲中学・高等学校(愛媛県)など多様なスタイルの団体が登場し、演奏演技以外でも観覧客を飽きさせなかった。なお、今回のグッドパレード賞には下記の5校が選出された。
【グッドパレード賞】※出演順
茨城県立大洗高等学校(茨城県)、星野高等学校(埼玉県)、神奈川県立湘南台高等学校(神奈川県)、遊学館高等学校(石川県)、長崎日本大学高等学校・中学校(長崎県)
>各団体のパレードの様子は、パレード写真まとめ記事よりご覧ください
そして、パレードのようすがテレビのニュースで大々的に報道されていたことも非常に印象的だった。これは、我々が前回取材した「とうきょう総文2022」にはなかった光景だ。地方開催だからこその現象かもしれないが、日頃あまりマーチングバンドやバトントワリングに触れる機会がない人たちに知る・見る機会が生まれていることに開催の意義を感じた。

7月28日(火)に開催された部門大会には、22団体(1,055人)に加え秋田県合同バンドが参加した。会場の県立武道館は秋田駅から車で約20分の海側にあり、各種道場や相撲場までを備えた施設だ。館内は明るく清潔感があり、駐車場が広くて館内とフラットにつながっているため搬入出もしやすい。

前日7月27日(月)には同会場でリハーサルが行われ(参加は任意の学校のみ)、参加校は会場内の導線を確認できただけでなく、本番同様にフロアでパフォーマンスを行うことで、客席の見え方や音の響き、入退場のセッティングから撤収までを確認することができた。通常の大会では会場には当日しか入れず、搬入出や移動などは事前に配布された場内図を頼りに行うことがほとんどだ。必死の形相で右往左往する引率者や出演者も珍しくないが、こうして前日に確認できるだけで精神的負担も軽減するだろう。

高文祭のマーチングバンド部門大会は、基本的に優劣を競う趣旨ではなく、フェスティバル的に行われる。編成はそれぞれで、10人に満たない極小編成から100人超えの大編成が代わる代わる登場する。楽器編成の定めがなく電源の使用も可能なため、電子楽器も使え、マイクパフォーマンスも可能だ。定められているのは出演時間くらいで、参加各団体はそれぞれの個性や持ち味を活かしたパフォーマンスを思い切り披露する。

演奏演技だけでなく、次年度開催地である石川県でホスト校を務める遊学館高校の生徒たちによる交流会企画(クイズコーナー)などもあり、非常に和やかに行われた。
歌にダンスにクイズまで、なんでもありの大会のようだが、実力校も多数出場するので見ごたえは十分だ。今回の大会では、上位大会に向けてのショーと、歌やダンスなどを取り入れて観客と一緒に盛り上がろうという半々でプログラム構成する団体が多く、観て聴いて楽しめるパフォーマンスの数々に観客席は大いに沸き、惜しみない拍手が送られていた。

中でもひときわ大きな声援を集めていたのが、地元秋田県の横手高校だった。入場時から大声援が上がり、生徒たちが終始生き生きとした表情でパフォーマンスをする姿が印象的だった。なお、今回の特別賞には下記の6校が選出された。
【講評者特別賞】
神奈川県立湘南台高等学校(神奈川県)、茨城県立大洗高等学校(茨城県)、星野高等学校(埼玉県)
【実行委員会特別賞】
山陽女学園高等部(広島県)、宮崎学園高等学校(宮崎県)、遊学館高等学校(石川県)
※いずれも出演順
>各団体の部門大会の様子は、部門大会写真まとめ記事よりご覧ください

部門大会のトリを飾った秋田県合同マーチングバンドも非常に見ごたえがあった。秋田県内の7校(秋田県立大館国際情報学院中学校・高等学校、秋田県立秋田工業高等学校、秋田県立大曲工業高等学校、秋田県立角館高等学校、秋田県立横手高等学校、秋田県立秋田商業高等学校、秋田令和高校)による100名超えの大編成バンドが結成され、秋田県にゆかりのある楽曲を演奏したのだ。日本国内の社会人マーチングバンドには、イベントのための合同バンドの結成をきっかけに生まれたという話も多くあり、今回の取り組みが後世に続くものとなることを願っている。

また、これらを無料で観覧できるのも特筆すべき点である(大会パンフレットやクリアファイルなどの記念品付きだった)。いわゆるコンテストや上位大会に比べて注目度に引けを取るものの、日本全国の高校生が一堂に集って様々なパフォーマンスを披露しあう高文祭はもっと注目されてもいいのではないだろうか。開催される地域の郷土文化や雰囲気を感じながら、批評家目線ではなく純粋にマーチングを楽しむことができるのが、この大会の何よりの醍醐味だ。2027年度は先述のとおり石川県での開催が決定しているので、能登観光と共に高文祭を楽しんでみてはいかがだろうか。
今回部門大会に出場したマーチングバンド全団体のダイジェスト動画はこちら
>写真で振り返る「あきた総文2026」パレード
>写真で振り返る「あきた総文2026」部門大会
