【マーチングバンド解体新書】届け信州の底力!幅広い世代が活動する「松本シティーマーチングバンド」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する企画、【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回紹介するのは、幅広い年齢層で活動する『松本シティーマーチングバンド』。日本マーチングバンド協会主催の大会出場団体中、最年長メンバーを擁している団体ではないだろうか。

活動状況などについて、代表の豊島実(とよしま・みのる)さんにお話を伺った。

マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

 

松本シティーマーチングバンドについて

団体正式名称:松本シティーマーチングバンド(マツモトシティーマーチングバンド)
団体所在地:長野県松本市
創設年:1987(昭和62)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション、カラーガード
※編成詳細は以下の通り
木管:Fl、Cl、Sax(Alto、Tenor)
金管:Tp、Hr(マーチング用)、Tb、Euph、Tuba
創設目的:「松本市でパレードをやりたい」という有志3名により発足
活動理念:生涯教育としてのマーチング活動であること、全員がプレイヤーであること

松本シティーマーチングバンド(愛称:MCMB)は、松本市で開催されるイベントのパレードに出演したいという思いを持った有志3名により結成された一般バンドである。発足当初は吹奏楽経験者が中心だった(マーチングを専門的にプレーしていた人はいなかった)。活動を続けるうちに大学でマーチングバンドを経験したメンバーや、県外の団体で活動していたメンバーが加入し、徐々に今の活動スタイルになったとのこと。

現在は、日本マーチングバンド協会主催大会への参加のほか、『松本ぼんぼん』のオープニングパレードや、『サイトウキネンフェスティバル歓迎吹奏楽パレード』(2015年よりセイジ・オザワ松本フェスティバルに改名)、地域のお祭りやスポーツイベントでの依頼演奏などを中心に活動を行っている。

また、創立35周年となる2022年には、長年に渡る活動を評価され、松本市文化芸術功労賞を受賞した。

 

他の団体にはない「MCMBならでは」なエピソード

MCMBの特色といえば、メンバーの年齢層の幅広さだろう。

豊島:「兄弟、姉妹、親子、夫婦、先生と教え子などユニークな間柄が見られるのもMCMBならではの光景です。おそらくですが、M協の関東大会で毎年フロア上の最高年齢を更新しているのではないでしょうか。フルボリュームで練習している中、メンバーのお子さんが爆睡していることもしばしばあります。日頃の練習の中でメンバーのお子さんの成長を楽しむことができるのも特徴です」

2023年シーズンは中学1年生(13歳)から69歳までが参加しており、豊島さんによると「干支が3、4まわり揃ったことがある」とのこと。モットーでもある『生涯教育としてのマーチング活動』を実践できている素晴らしいバンドだ。

 

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週1回(原則週1回土曜日に実施。大会前は日曜・祝日も)

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋内

 

2.メンバーについて

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.31~40名

Q.メンバーの平均年齢はどれくらい?
A.28歳以上

Q.所属メンバーの中で「一番多い」属性はどれですか?
A.社会人(フリーターを含む)

Q.所属メンバーの居住地について教えて下さい
A.団体所在地「内」の都道府県から通っている

豊島:「メンバーの多くが松本市と周辺の市区町村在住ですが、過去には大阪や東京から通うメンバーもいました」

 

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか?
A.中学生以上

Q.加入に際しオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

豊島:「メンバーの過半数がマーチング経験者で、その多くが松本市立清水小学校など小学校でのマーチング経験者です。初心者は年に1~2名加入しますが、イベントや演奏会の様子を見たことがきっかけになっています」

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円

MCMBの活動費は年額3万6千円だが、家族や兄弟で加入したり、遠距離から参加するメンバーに対しては減免措置がある。衣装代は1万円以内、靴やインナーも自前とのこと。楽器について、ブラスは経験者も多いことからほぼ自前で(EuphとTubaは貸与あり)、パーカッションは隊所有だそうだ。

ちなみに大会には毎年新作衣装で臨んでいるそうで、「メンバーにアパレル関係者がいるので、デザインから縫製まですべてオリジナルで制作しています」とのこと。大会の際はぜひチェックしてみてほしい。

Q.その他、活動に際し必要な条件はありますか?
A.特になし

豊島:「メンバーは通年で募集していて、いつでも体験OKです。見学に来た方は一緒に練習に参加してもらっています。気になった方はいつでもいらしてください」

 

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
日本マーチングバンド協会(M協)主催大会
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・企業イベント
・スポーツイベント(プロチーム主催ゲームのゲスト演奏など)
・演奏会などの自主公演

長野県にはJリーグ・松本山雅FCや、Bリーグ・信州ブレイブウォリアーズなどのプロスポーツチームがあり、ゲスト出演することも多いそうだ。豊島さんによると長野県のマーチングバンドは活動団体が減少しており、指導者不足も深刻とのこと。そんな中でのスポーツイベント出演は、ジャンルを超えて多くの人にマーチングバンドを知ってもらう良い機会となっている。

Q.コロナ禍で困ったことは何ですか?
A.
・練習場所が確保できない
・人前で演奏演技を披露する機会が減った、またはなくなった(大会を含む)
・コロナ禍でメンバーが増員したのに会場確保が出来なかった

豊島:「コロナ禍でメンバーが減った団体もいると思いますが、MCMBは逆に増えました。主に社会人でしたね。活動の場を求めて参加してくれたのですが、コロナ禍のために練習場所の確保が大変でした」

Q.次の本番予定を教えてください
A.
豊島:「2023年6月3日(土)2023明治安田生命J3リーグ第12節、松本山雅FC VS SC相模原戦【長野銀行SDGsアクション『ながぎんデー』】に出演します」

試合詳細はこちら|松本山雅FC

最後に読者の方へメッセージをお願いしたところ、このようなコメントをいただいた。

豊島:「スポーツイベントや演奏会はもちろんですが、大会用ショーにも力を入れています。M協関東大会に出場している他の団体と私たちの団体はちょっと雰囲気が違うので、観客の方の『おや? 他の団体とちょっと違うぞ?』という、戸惑いというか……客席の独特な空気感をフロアにいながら感じます(苦笑)。私たちは私たちのスタイルで活動を頑張っているので、大会では温かく見守っていただけたらと思います」

たしかに他の関東地区の一般団体とは雰囲気は異なるかもしれないが、評価が伴う大会という場において、MCMBのように幅広い年齢層がイキイキと活動している団体こそ注目の価値があるのではないだろうか。初心者からベテランまで、中学生から60代まで――多様性あふれるメンバーたちがともに大会に挑む姿は、それこそ最高に格好良いではないか。MCMBには、これからも信州から熱い思いと楽しむ姿を見せ続けてほしい。

松本シティーマーチングバンド

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